第13話、宣戦

 そして、俺は復活ふっかつを果たした。

「志道‼」

「っ、シドー‼」

 復活した俺の姿に、ゼンとシアンは歓喜かんきの声を上げる。対照的に神は俺の姿を見て驚愕をかくしきれていない。

 よほど、自分のした事に自信があったと見える。それを逆転ぎゃくてんされてプライドが傷付いたと見える。

馬鹿ばかなっ!?貴様は確かに我がこの手でした筈‼一体どのような手段を用いた‼」

「へぇ?神でも分からない事象コトがあるのか?それは良い事をいたな」

 言った瞬間、俺はゼンのとなりに立っていた。それも空中に立っている。空間転移と空中歩法だ。三柱の悪魔と融合ゆうごうし一体化した今の俺なら、この程度の事は可能だったりする。まあ、今からもっととんでもない無茶むちゃをするのだが。

 ゼンの肩に手を置く。瞬間、ゼンは身体をびくんっとふるわせた。

「っ、これは……志道、お前⁉」

「俺の魔力をゼンに譲渡じょうとした。上手く使つかえ」

「……ああ、まかせろ‼」

 魔力の譲渡。それはつまり、俺の保有する力の一部を魔力として相手に譲渡するに等しい。それは裏を返せば相手と自分との間につながりを作るに等しい。

 だが、まだだ。まだこれで終わらない。

「我が身に宿りし三つの大罪因子たいざいいんしへ。残る四つの大罪因子よ、我が許へとつどえ‼」

 自身に宿る三つの大罪の因子。それを全力稼働させて残る四つの大罪の因子を呼び寄せ回収かいしゅうする。

 つい先程知ったが、大罪の因子にはそれぞれ特化とっかしている力がある。

 先ずは憤怒のサタン、自己おのれに作用する力であり純粋な力そのものだ。これは自身を無限に強化きょうかする事にのみ特化している。

 次に怠惰のベルフェゴール、周囲たしゃに作用する力であり他者へ力を作用させ代わりに動かす異能。これは他者に加護かごを与え、自身の代理とする事に特化する。

 次に強欲のマモン、自己に作用して周囲に散在さんざいする力を自身へ集める異能。これはつまり自身に周囲のエネルギーを集める事に特化している。

 次に暴食のベルゼブブ、自己に作用する力で周囲にあるものをらう異能。これは周囲にあるものの強度や性質に関わらず捕食ほしょくする事に特化する。

 次に色欲のアスモデウス、周囲に作用する力で生命を創りあやつる黒魔術。これは生命という概念に干渉かんしょうし操作する事に特化している。

 次に嫉妬のリヴァイアサン、周囲に作用する力で自己の意思いしにより周囲を問答無用に変換する異能。これは周囲を自己にめ上げる事に特化する。

 次に傲慢のルシファー、周囲に作用する力で支配力しはいりょくの異能。これは周囲にある全てを支配しておもうままに振り回す事に特化する。

 最後にベリアル、何も無い虚無ゼロを司る異能。これは無からエネルギーを抽出して己の力として概念化がいねんかし振るう事に特化する。

 此処に全てが集まった。全てを俺へと収束し、全てを俺の血肉ちにくとする。

 俺に力を貸してくれ、悪魔みんな

 そして、俺は新生たんじょうした……

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