第4話
その後勇翔と教室に戻ると午後の授業のための体操着が入った袋を持ち少し早歩きで男子生徒用の更衣室へと向かう。
更衣室につくとすでに集まった男子生徒たちの多くがちょうど入れ替わるようにして更衣室を後にしていった。
俺と勇翔も急いで着替え俺はタオルと先ほど買った麦茶をもって校庭へと急ぐ。
その途中ちょうど先生と出くわし声をかけられる。
この先生は体育を担当する先生で、名前は
いつもけだるげな言動だが赤く長い髪を後ろで結びポニーテイルにしている。
スタイルがよく男子生徒に人気であり、なおかつけだるげな様子が可愛いと女子生徒からも人気がある。
「ん?勇翔と歩武じゃないか。そんなに焦って来るなんて、もう少し余裕を持って行動しろよ~。特に勇翔」
「先生~、その通りっすけど最後の特には言わなくてもいいじゃないっすか~。ごもっともですけど」
「勇翔は毎回ギリギリ、とゆうかたまに遅れてくるだろ」
「たまにだろ~」
「たまにでも駄目だぞ~」
そんな緩い会話をしながら生徒が集まっているところに着くとちょうど始まりのチャイムが鳴った。
「よ~し、それじゃあ授業始めるぞ~。まぁいつも通り二人一組で模擬戦をしてくれ~。それを見て気になったところがあったらアドバイスするからな~」
「「「は~い」」」
先生のいつもの指示に全員が返事をし用意された模擬専用の武器を持ち大体いつもの組み合わせで組むと離れていく。
俺と勇翔もそれに続き開いてる場所へと移動する。
「それじゃあやるか」
「おう!どんとこ~い」
「はいはい。じゃ行くぞ」
俺はそう言って、ショートソードを振りづらい両手で持ち勇翔へと振り下ろす。
それを勇翔は片手で持ったショートソードで軽く防ぐ。
次に勇翔が俺へ向けて振り下ろしてきたショートソードを受け流し、そこから流れるようにして再び勇翔へ向けて振り下ろす。
その攻撃に対して受け流されたことによって少し前かがみになった勇翔はその勢いを利用し前転をして俺の後ろへと移動すると素早く立ち上がり振り返りと同時に剣を振ってくる。
その攻撃を俺は前に進むことで剣の間合いから外れ勇翔へと向き直り剣を構えなおす。
そんな俺へと勇翔は素早く接近し剣を振り下ろしてきた。
俺はそれに対して先ほどと同じように受け流す構えをとる。
しかし勇翔は素早く剣を横振りに変えてきた。
俺はそれをしっかりと目でとらえながら、ギリギリ間に合うようにして防ぐ。
しかしギリギリで防いだため勢いまでは完全に殺しきることができず横にスライドする。
そんな俺に対して勇翔は続けざまに今度は斜め左下から振り上げてきた。
俺はその攻撃を防ぐことなく、首のすぐ横で寸止めされる形で一回目の打ち合いは終わった。
「ふ~。俺の勝ち~。いえ~い」
「はいはい。強い強い」
「歩武は少しぐらい悔しがれよ~。向上心をもてよ!もっとできるって!」
「暑苦しい人みたいなこと言うなよ。そんじゃいったん休憩な~」
「ノリわりーなー。そんじゃ休憩すっかー。じゃ、俺はさっき買ったの飲も~っと」
そう言って俺と勇翔は飲み物を置いてある場所へと移動し地面に腰を下ろす。
隣に座った勇翔は「ふ〜」と息を深く吐いた後先ほど俺の金で買った飲み物を手に勢いよく開ける。
その瞬間飲み物が勇翔の顔面めがけて吹き出した。
「どわっ!?」
「何やってんだよ?」
「見てわかんだろ!?炭酸が吹き出したんだよ!」
「それは見たらわかる。そっちじゃなくてなんで勢いよく開けたんだよって話」
「吹くと思ってなかったからだよ!」
勇翔は自身のタオルで顔を拭きながらそう答える。
「あんな振りながら持ってたらそりゃあ吹き出すだろ」
「はっ!確かに!あーもう。顔がベタベタだ。ちょっと顔洗ってくる」
「了解」
そう言って立ち上がった勇翔はベタベタした顔と手が気持ち悪いのか唸りながらそそくさと水道がある方へと歩いて行った。
俺はそんな勇翔の後ろ姿を見ながら苦笑する。
そんな俺へ向けてうざい声が飛んでくる。
「歩武く〜ん。暇ならさ、一緒に模擬戦しようぜ」
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