第15話
呪詛の騒ぎは瞬く間に大きくなった。どのような証があったのか、噂以上のものは伝わってこず、
古来より、皇家を支え、時に身代わりを務める、陰の存在。隠部からは、歴代の帝の厄を代わりに引き受ける、
左大臣から指示を受けた大納言家は、隠し巫女と情を通じて東宮の護りを弱め、呪詛を行ったと、そういうことにされている。
隠し巫女にしても、兵衛府の
この事態を呼び込んだ自分に、この先、平穏はない。それは、贖罪の思いから出た、確信だった。
「お前さあ、そろそろ電話でもメールでもしてみろよ。」
「いや、でもさ・・・」
あれからまた何日か経ったが、和也はまだ上條さんとやり取りできていないらしい。その上、気になって仕方がないくせに、相も変わらず自分からは連絡を取ろうとしない。
「いい加減、忘れられるぞ。いいのか?」
そう言うと、和也はグッと詰まった声を出した。
いいわけはない。彼女のことが頭から離れないのは明らかなのだ。
あの二人に任せていたら、何も進展しないに違いない。時間もないのに。
その焦りは、日を追うごとに強まっている。この焦りがどこから来るのか、なぜ二人のことでこんなにも気が揉めるのか、自分でもよく分からないのだが。
一樹が神野さんの協力を仰ごうと連絡を取ってみると、すぐに話に乗ってくれた。どうやら、上條さんの方でも、メールを送ろうかどうしようか、ずっと悩んでいて、神野さんも呆れていたようなのだ。メールはもういいから、とにかく周りが背中を押してやらなけりゃならない。本当に昔から焦れったい二人だ。
「・・・むかし?いや、会ったばかりだよな。・・・まあ、いいか。」
とにかくあの二人には、時間がないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます