大きなショッピングモールの一角で、明るい他の店舗とは少し違った穏やかな間接照明に照らされる本棚の並ぶブックカフェ、Hafen(ハーフェン)。
本好きからすると、とても居心地の良さそうなお店なのですが、フロアマネージャーによると、薄暗く入りづらいのが売上不振の原因だと指摘され、本への配慮より、もっと明るいカフェへの転換を勧められてしまいます。
そんな中、バイトの女の子からとある常連の男性についての苦情を受けて、彼に話しかけるのですが——。
少しくたびれた、けれど本をとても大切そうに読み、扱ってくれる男性と、売上は伸びないものの、本が好きで彼なりに懸命に考え選んだ本でブックカフェを営む店主。
立場も境遇も違うけれど、彼らに共通するのは本当に本が好き、ということ。
本に向けられる眼差しやそれにまつわる仕草がとても繊細で丁寧に描かれ、本が好きな人ならきっと心を動かされてしまうこと間違いなしです。
偶然に出会った二人が、互いを心のどこかで支えにしている。
日常の中で、きっと誰もがどこかで出会っている小さな優しさや温かさを、改めて感じさせてくれ、頑張ってみようかなと思わせてくれる素敵な物語でした。