第2話 未知との遭遇
自由ヶ谷高校に入学した私、
紫乃は最近、
ここら辺は私達の領域だ。好き勝手に暴れ回られては困る。
空き家、路地裏等、巣窟になりそうな所を探しても見つからなかったが
「なるほど…これは分からないな。」
まさか自分の入った高校の旧棟の部屋を拠点としていたとは。
…いくら自由な校風でもこれを見逃すのはいかがなものか?
本当に知らなかった場合も無きにしも非ずだが。
そして心霊部のドアを壊す勢いで開けた。
「おい!!爆雷団の頭はいるか!!」
しかし、そこには2人の女性しかいなかった。
茶髪の女性は椅子に腰掛けスマホを持ってこちらを見ている。もう1人の黒髪の女性は箒を持っている。
「おやおやおやおやぁ〜!これはこれは新入部員かい?大歓迎だよ!ところで一緒に掃除を手伝って貰えないかい?」
と踊るようなステップで茶髪の女性がこちらに近づいてきた。
「あなたが途中で掃除をやめたんでしょう。人に押し付けないで下さい。しかも誰かも分からない人に。」
2人が呑気に話しているので私は茶髪の胸ぐらを掴んだ。
「おい、後一回しか聞かねぇぞ。爆雷団はどこだ。」
「爆雷団…。あぁもしかして昨日ここにいたヤンキー達のことかい?その人達なら追い出したよ」
茶髪の飄々とした態度に私の胸ぐらを掴む手に力が入る。
「ふざけんのも大概にしといたほうがいいぜ。お前左腕を骨折しているらしいが、右腕まで壊されたくはねぇだろ?」
争いが激化する中、黒髪がバットを持ってきた。
「これ…その爆雷団とかが置いて行ったものだと思いますが違いますか。」
「…この和釘で作られた特徴的な釘バットは間違いなく爆雷団の物だな。だがこれがお前らが倒した証拠にはなら…何っ!?」
バットを見ていた隙に茶髪が抜け出したのであった。
「なるほど…バットは注意を逸らす為の囮って訳かよ…!」
…私は確かにこいつを掴んでいた筈…なのにいつ抜け出した…?もしかしてこいつら本当に爆雷団を…?とまで考えた所で茶髪の女性が提案してきた。
「…君は中々強そうだけどどうかな?心霊部に入らないか?」
「悪いが私は心霊の類は一切信じていない。邪魔して悪かった。それじゃ」
言い切るなり私は部室を出ていった。
────────────
神奈川
「あ…あいつでいいんだよな?」
「あぁ間違いねぇボスに言われた特徴と一致している!」
金髪のボブに身長が170弱、そして自由ヶ谷の生徒。という特徴と一致した女性を怪しい2人組が追っていた。
「とりあえず連れてこいって言われたけどスタンガンでいいのかな?」
「知らねぇよ!とりあえず行ってこい!バレねぇようにな!」
そして1人がそっと近づき…
その女性の確保に成功した。
───────────
目を開ける。
ここは…沢山の男に囲まれて…私は椅子に縄で拘束されてる…
「やっと起きたかこの寝坊助さん?」
何処かで聞いた趣味の悪い声と喋り方で状況を理解した。
「お前は…爆雷団の頭のボンバンだな?」
「爆雷団ではなぁい!!スーパー爆雷団だ。そしてボンバン様だ。二度と間違えるなよ。」
団の象徴である爆弾と雷が入った趣味の悪い服を着ておりヤンキーに似合わぬ七三分けを決めているこの男が爆雷団の頭である。
「それにしても私の手下をコテンパンにしてくれるとはねぇ…中々穏便な集団だと思っていたのですが幻滅しましたよ。」
「令和における女忍者の集まり、くノ一団の頭。虎山紫乃。」
ボンバンが静かに言い放つ。
「…悪いが今回お前の部下をボコボコにしたのはくノ一とは全く関係がないぜ。」
縄を抜けながら言う。
「そして私は下校中だったがここまで運んでくれたやつにも感謝しねぇとな。気配は全く消せてなかったけど。」
「…お前まさか本拠地に乗り込む為にわざと…!」
「お陰で探す手間が消えたぜぇぇぇ!!!
祭りだぁぁ!!オラァァァァァッッッ!!!」
そう言い紫乃がスーパー爆雷団を完璧に潰すまでに10分はかからなかった。
とっぷり日も沈み、時刻は21:00になろうとしていた。
「うわぁここよく見たら山じゃねぇか。ったくめんどくせぇな…。とりあえず懐中電灯借りていくぜ。」
不気味な暗さの山を道なりに沿って歩いて10分たったその時、異変は起こった。
ガゥゥゥゥゥゥゥ
「なんだ?オオカミか?」
ギャウルルゥゥゥゥ!
明らかにオオカミではない鳴き声に気付き後ろを照らすと、四つん這いの黒く溶けた人のような物がいた。
「なんだこいつは…!おい!お前!もしも私の所まで来てみろ…ぶっ飛ばすぞ!」
ギリギリギリギリ…グワシャァァァァ!!
化け物が紫乃に飛んでくる。
すかさず右足蹴ろうとするが、なんと体を通り抜けていった。
「…こいつっ…!攻撃が効かない!」
足元に違和感を感じ見ると化け物が左足に噛みついていた。
「な…何ぃぃ!!私の攻撃は効かないのにこの黒いやつは私に攻撃できるのか!?」
引き剥がそうとしても触れられない。振り払おうとしても離れない。食べられているというよりかは吸収とか合体に近いと思っていたその時。
ズシャア!!
隕石の様に上から降ってきた何かによって化け物が斬られ、消滅した。
「…こっちの安全の確保は任せて、他の怪異を頼んだよ。麗華。」
「分かりました。出来るだけ早めに終わらせます。」
2人の刀を持った女性がそこにはいた。
「これは…あと数体…といった所でしょうか。ならば一撃で。」
「
瞬間、蜘蛛の糸の様な斬撃で麗華の攻撃範囲にいた怪異は全て斬られた。
「…これで大丈夫でしょう。」
「あぁ…ありがと麗華。…って君は放課後に部室に来た人じゃないかい?」
「お前ら…!これはどういう事だ…?」
あっけに取られた紫乃が問う。
「言いたいことは山程ある思うんだが…企業秘密という事にしておいてくれ。まぁ心霊部に入部したいというのなら話は別だが!」
凛の提案に紫乃は少し考えてから返す。
「私は…心霊部に入る!だが!それは心霊の話を聞きたいとか世界を救いたいとかお前らに助けて貰ったからとかじゃねぇ!」
「それはくノ一団の頭として対抗できない敵は作っちゃいけねぇと思ったからだ!」
「例えそれが人間じゃなくてもな。」
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