第一章酒場にて⑧

[>②「報酬は?」」


 カスター――[微かな笑み]を浮かべたままで、

「前金で1000ギリム、成功報酬で

 さらに1000ギリムお渡しします」


 ニオ――[ニッコリ]笑って、

「依頼書どおりだね~」


 フェレス――“クール”に、

「モンスターの強さが

 分からないわりには、

 随分気前がいいな」


 リメア――[微かな笑み]を浮かべて、

「単に、どのくらい払ったらいいのか

 分からないのかもしれませんよ?」


 トラッド――[ニヤリ]と笑い、

「それだけ必死に、腕の良い〈冒険者〉を

 雇おうとしてんのかもしれないしな」


ニオ――[ニヤリ]として、

「今の段階では、全然、分っかんないけどね~~」


 トラッド――[普通]の顔に戻り、

「ま、いい。それも、おいおい分かるだろう」


[>③「村の被害は?」]


 カスター――[微かな笑み]を浮かべたままで、

「まだ、出ていません。しかし、足跡が村の方に

 近づいているため、被害がでるのは時間の問題

 だと判断致しました。村の者に被害が出る前に、

 是非とも怪物を仕留めてほしいのです」


 フェレス――“クール”に、

「特に不審な点はないな」


 トラッド――[苦笑]を浮かべ、

「何だ? 最初から疑ってかかってるのか?」


 フェレス――“クール”に、

「人を簡単に信じるな。それが例え依頼人でも、な」


 トラッド――[苦笑]を浮かべ、

「うっわー。めっちゃ嫌なやつーw」


 ニオ――[苦笑]して、

「トラッド、止めなよ」


トラッド――[苦笑]したまま、

「だぁってよーw」


 フェレス――“クール”に、

「貴様が簡単に信じ過ぎるんだ」


 ニオ――[プンプン]と怒って、

「二人ともいいかげんにしなよ。

 時間は待ってくれないよ?」


トラッド――[普通]の顔に戻して、

「ゴホン! ええと」


[>④「洞窟とは?」]


 カスター――[微かな笑み]を浮かべたままで、

「村の近くにある洞窟のことです。

 そこに怪物が入っていくところを見たと

 言う者がおりまして、おそらく怪物は

 そこにいるのだろうと思いまして」


 ニオ――[苦笑]を浮かべて、

「しろうと考えだね~~」


 リメア――[微かな笑み]で、

「そう言うのは早計では?」


 フェレス――“クール”に、

「いや、ニオの言うことが正しい。

 実際に見て見なければ分からない」


 トラッド――[苦笑]して、

「まあ、依頼人の話を聞こうぜ?w」


 カスター――[微かな笑み]を浮かべながら、

「私の話は、以上です」


[もう一度、説明を聞きますか? 「はい」/「いいえ」]


 トラッド――[普通]の顔に戻って、

「もう一度、説明聞く?」


 しばらく待ったが、誰の“発言”もないので、『トラッド』は「>「いいえ」」を選択する。


 カスター――[微かな笑み]で、

「依頼を、お引き受け下さいますか?」


[依頼を引き受けますか? 「はい」/「いいえ」]


 トラッド――[ニッコリ]と笑って、

「引き受けてもいいよな?」


 “頷く”パーティメンバーを確認して、“リーダー”は[>「はい」]を選択する。


 カスター――[微かな笑み]を浮かべ、

「ありがとうございます。

 では早速、私たちの村まで来て下さい。

 ここから、徒歩で三日ほどのところにあります。

 それでは、私はこれで失礼します」


 カスターのグラフィックはそのセリフを最後に画面から消え、入れ違いに、酒場で行動可能な選択肢の一覧が表示される。


[どうしますか?

 トーラン村に向かう/デッキの編集/トレーディング/アイテムの売買/その他]


 トラッド――[ニヤリ]と笑って、

「さーて、どうする?」


 ニオ――[ニヤリ]として、

「ちょっと待って~~。デッキの編集するから~~」


 トラッド――[ニヤリ]と笑い、

「オーケー。慌てないでいーぞ」


 と“発言”しつつ、自分もデッキの編集を始める『トラッド』。他のメンバーも“会話”などせずに、黙々と自分の作業に没頭する。


(今回は回復の専門職がいるから、〈戦士〉スキルを多めにするかな)


 と心の中で呟いて、


(ちゃんと話しておいた方がいいな)


 と思い『トラッド』は、ニオのみを指定してチャットで“呼びかける”。


 トラッド――[普通]の顔で、

「 回復系スキルのことなんだが、ニオ?」


 ……返事がない。


 トラッド――[普通]の顔で、

「ニオ?」


 さらに“呼んでも”、返事が、ない。


(……しかたねーなぁ)


 埒が明かないと感じた『トラッド』は、画面上のコマンドで、[>ニオの肩を叩く]を選択し、決定ボタンを押す。コントローラーのバイブ機能の設定がONになっていれば、ニオの『プレイヤー』の手元に、振動が伝わったはずである。


 案の定、


 ニオ――[普通]の顔で、

「うわあ! びっくりしたぁ!」


 顔グラフィックの入力もないままに、ニオはそんな“発言”をする。

 「余裕あるんだか、ねーんだか」と苦笑しながら、『トラッド』は用件を告げる。


 トラッド――[苦笑]しながら、

「オレは《戦士系》多くすっから、

 《司祭系》つーか、《回復系》は

 よろしく頼むぜ?」


 ニオ――[ニッコリ]と笑い、

「うん! 分かった~~」


 と返事をして、また、“デッキ”の編集を始めたニオを確認しつつ、ついでとばかりに、

『トラッド』は、[>フェレスの肩も叩く]。


 フェレス――“クール”に、

「何だ?」


 こちらは、本当に、まったく動じていないようだ。「つまんねー」とか呟きつつ、


 トラッド――[苦笑]しながら、

「リメアとちゃんと話して、

 《魔術師》系どうすっか、決めとけよ」


 フェレス――[フッ]と“クール”に笑い、

「心配は無用だ。

 とっくに、そのことは解決済みだ」


 トラッド――[苦笑]して、

「なら、いいや」


 いつの間に話をつけたものやら、そんなこと常識だと言わんばかりのフェレスを、意外に気が効くなぁと思って見ていると、


 フェレス――[普通]の顔に戻り、

「デッキの編集は終わったのか?」


 まるで見透かされたかのように、“クール”に指摘された。


 「いいや」と“首を振った”トラッドは、そのまま“黙って”去るのも何か悔しいような気がして、


 トラッド――[驚いた]顔の後、[ニヤリ]と笑って見せ、

「デッキの偏執? 

 何それ?

 怖ぇーよw」


 などとボケてみた。


 フェレス――[フッ]と“クール”に笑い、

「馬鹿なことを言ってないで、早く準備するんだな」


 その“口調”はいつものように“クール”だったが、何故だか笑みをふくんだ言葉のように感じられたのは、『トラッド』の気のせいだっただろうか?


 トラッド――[苦笑]を浮かべ、

「へいへい~w」


 トラッドは、まったく反省の色がない返事をフェレスに返すと、それからは真剣にデッキの編集をしたのだった。



 それから、しばらく経った後、



 トラッド――[ニッコリ]と笑い、

「みんな、準備はいいかー?」


 フェレス――“クール”に、

「いいぞ」


 リメア――[ニッコリ]と笑って、

「はいっ!」


 ニオ――[ニヤリ]とした笑みを浮かべて、

「お~ぅ、の~ぅ! 

 じゃすと・あ・も~めんと!

 ぷり~ず~~!」


 トラッド――[苦笑]を浮かべ、

「なぜ、えーご?w」


 フェレス――“クール”に、

「しかも、横書きのひらがなだしな」


 ニオ――[ニヤリ]として、

「そりゃ、横書きでも書ける

 言語の国の人だから♪」


リメア――[苦笑]して、

「そのセリフって、どこかで

 聞いたような気が……^^;」


 トラッド――[苦笑]のままで、

「ボケてないで、はやくしなさいw」


 ニオ――[ニッコリ]として見せ、

「ほ~~い!(笑)」



 ……そして、しばし待った後、ニオの「いいよ~~」というセリフを確認して、『トラッド』は[トーラン村に向かう]を選択し決定ボタンを入力した。



 瞬間、“ロード・シーカー”というロゴが表示され、ローディング画面に切り替わる。



 ……彼らの本当の意味においての“冒険”が、今、始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る