番外 虫注意! セミ後編

 翌朝、子どもと一緒に昆虫図鑑を見て、なにゼミか確かめよう。


 そう思っていたのに、カーテンからセミ本体の姿が消えていた。


 え?


 もしかして、私が寝たあとに誰かが起きて、外にセミをはなしたの?


 家族に聞いてみたけれど、誰も外に出してないらしい。


 ということは、セミちゃんは、まだ家のどこかにいる!


 数年も土の中にいて、ようやく出てこれたら、室内で迷子とか。


 切なすぎる。


 家族総出で探したものの見つけられないまま、私はバイトに。


 気落ちしたまま歩いていると、足元に、こちらをうかがいながら歩くトカゲがいてなぐさめられた。


 ちょろちょろと 歩くトカゲに 励まされ うつむく顔を 上げて踏み出す


 短歌に投稿したあとだったから、思わずそんな歌を作ってた。


 帰宅しても、やっぱりセミちゃんはいない。


 この日は近所の夏祭り。

 私たちはお祭りに出かけるのに、セミちゃんは……。


 とか思いながらも、子どもたちには楽しんでもらわねばと祭りをまわって帰宅したら。


 元いたカーテンの下にセミちゃんがいるではないですか!


 よ、良かった〜。

 見つけられないままミイラ化しなくて、本当に良かったよぅ。

 

 みんなでセミちゃんの姿を確認したあと、すぐに外に放しました。


 一日奪っちゃって申し訳ない。

 素敵な姿を見せてくれてありがとう。


 次回があれば、もっと気をつけるからね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る