番外 虫注意! セミ前編

 夜、子どもが、羽化直前のセミの幼虫を拾ってきた。


 昔、誰かの幼稚園イベントで、セミの幼虫を連れ帰って羽化するまでを観察したことがある。


 今回もカーテンに付けて羽化を見ることになった。


 見慣れたぬけ殻のカタチながら、黒光りしてやわらかな幼虫に、子どもはおっかなびっくり。


 連れて帰る間、幼虫に指をつかまれて痛かったらしい。


 幼虫はカーテンにつかまると、あぶなげなくのぼっていき、「ここにしよう」と決めたのか、動きを止めた。


 殻から出てくるまでしばらくかかるので、ご飯を食べていたら、いつの間にかすでにセミの頭が出ていた。


 しまった。

 決定的瞬間を見逃した!


 それでも、まだ色が付いておらず、白くて淡い緑のセミが懸命に出てくる様子は、何回見ても感心してしまう。


 幼虫とセミのカタチが全然違うのも、本当に不思議だ。


 んーっとイナバウワー(←懐かし過ぎて伝わらないかも? 背中側に反ること)したセミの羽は、まだくにゃくにゃっと曲がっている。


 これが、あの薄くてパリパリの羽になるなんて信じられない。


 セミは自分の殻につかまり、羽をゆっくり伸ばしていく。

 まだ白いので、素人の私には、アブラゼミかクマゼミかもわからない。


 子どもたちは明日の朝に、なにゼミかわかるのを楽しみにして、寝てしまった。


 夜中過ぎまで眠れない私は、一足先にセミの姿を確かめて眠りについた。


     つづきます。


 


 

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