3分間

生理中はどうしてこんなに体が重いんだろう。食堂のテーブルに突っ伏したまま動きたくなかった。

目を閉じる。もう少しで眠れそう。

「ちょっと話いいですかー?」

邪魔をするのはあの男だ。隣に座ってニコニコ笑っている。

「私今日具合悪いんです。この姿勢のままでいいですか?」

「いいですよー」

あの男は私の目をじっと見て質問をした。

「今度の作業なんですけど、一緒に行きませんか?」

「わかりました」

そしてあの男は黙った。

あの男は隣に座って私の目を見つめたままニコニコ笑っている。何も言わないまま。

「……それだけですか?」

「え?」

「いや、移動手段とかどうするのかなって」

「ああ、Aさんが車を出してくれるそうです。後でAさんとも話しましょう」

「そういうの先に言ってください」

「あはは、そっか」


あの男は気まずくないのだろうか。

どうして気まずくならないんだろう。

私達は無言のまま3分は見つめ合っていた。

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