KAC20236/お題:アンラッキーセブン 金髪傭兵と不良兵士

「オイ!ジュリアルド!」


突然声をかけられ、振り向くと食堂で俺達に愚痴を言っていた不良兵士がいた。


「なんだよ」

「俺にも試作機回すよう言いやがれ!」

「はっ?てめぇの腕で・・・?一昨日きやがれ」

「てんめぇぇー」


俺は不良兵士を見ると何を言っても面倒が残りそうだった。そこで一つ提案してやることにした。


「しょうがねぇなぁ・・・こいつで勝ったら口利きしてやるよ」

「なに?」


俺は不良兵士に新しいトランプの箱を見せる。


「21《ブラックジャック》先に3勝したら口利きしてやる」

「良いね」

「正しルールは少し変則だ。お互いに1回づつシャッフル後、扇型に広げた《スプレッド》した所からカードをドローし、お互い切りの良い所でオープンとする。もし、カードを全てドローし終えたらシャッフルし直しだ」

「おう、それで良いぜ。これで俺もエリート様だ」


不良兵士はニヤリと顔をゆがませる。

俺は開いている適当な部屋に入り、机を引っ張り出し、勝負を始めた。


・・・・・・ここまで2勝2敗1分け

不良兵士と俺は2枚づつ引き終わり、眉を潜めた不良兵士が1枚カードを選び、手札を確認するとにやりとするとドローをストップした。

俺は歯抜けになった扇型に広げた《スプレッド》から1枚ドローして、手札をストップする。

目の前のにやけた顔の不良兵士がドローしたカード順にオープンしていく。


「♦《ダイヤ》の6・・・♠《スペード》の8、♥《ハート》7。21。っはどうよ俺様の運は!最後の7《セブン》はラッキーセブンだぜ!」


不良兵士はどや顔を俺に見せてきたが、それに意を返さず、一息つく手札をオープンする。


「その♥《ハート》7はどちらかと言うとアンラッキーセブンじゃないか・・・?」

「あん?」


俺の手札は♠《スペード》、♦《ダイヤ》、♣《クラブ》、三枚の7《セブン》


「スリーセブン。21」

「な!?だ、だが同じ21だ。次がある!?」

「次はねぇよ。てめぇの21は6to8《シックストゥエイト》、俺の手はスリーセブン。俺の手の方が役が上なんだよ」

「く・・・畜生!?」


ダンっと不良兵士は机を叩いた。


「土台、腕も運も無いお前じゃ無理なんだよ。じゃぁな」


俺は奴の肩を叩き、部屋を出ていった。


「ジュリアルド、酷い事をするな」

「グローサリーか?」

「あからさまなイカサマだ」

「わかりやすいサマだったと思うが?頭が回らないあいつが悪いのさ」

「頭の巡りと言うより、記憶力だろう」

「フン、結局どちらも無く、運も無いんじゃどうにもならんさ」


グローサリーが俺を見て、ため息をついた。


「この天才ルビを入力…《ジーニアス》め・・・」


俺は肩をひそめ、グローサリーと共に部隊室へと歩いて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る