KAC20234/お題:深夜の散歩で起きた出来事 老兵とKey Number36
草木も眠る丑三つ時、ワシは一本の電話に起こされた。そして、電話が切れた後、ワシは部屋を出て、表に出た。
日本の春の深夜はまだ寒かったが、先程の電話による歓喜でさほどの寒さを感じなかった。夜の寒さにその身を佇ませていると夜の闇間に解け出てくるように気配を感じた。そちらを見ると黒のスーツに身を包み、黒い帽子をかぶったマフィアに見える風体の男が歩いてきた。
「オラジ、こんな夜更けに外出ていると年寄りの体に良くねぇぜ」
「ハル・・・お前さんよりくってないぞい。お前さんこそこんな時間に何しとるんじゃ」
「あん、何言っている。この時間は俺の時間だ。愚問だぜ」
「・・・そうじゃったな」
この丑三つ時こそ自分の時間だというハルの実態を知るワシは納得する。
「それでどうした」
「先程な、孫娘より子供が産まれたって電話があってな」
「クックック、そうかいそいつはめでてぇな。今度はちゃんと届けられたな」
「あぁ・・・一度は流れてもうとは言っていたのがな・・・お前さんのおかげかね」
「クックック」
ワシはハルを流し目で見たが、ハルは明確に答えず笑い流していた。
ワシは数年前にわしの孫娘の身に起きた事を思い出す。孫娘に子が出来た際、運が悪く流れてしまった。その衝撃でかなり精神的に不安定になり、自殺も有りうりそうな位だった。いや実際ハルが橋げたの傍にいたという孫娘を家まで連れてきてくれなければ、そうなっていただろう。その後、ハルからもらった何らかの紋章のメダリオンをハルに言われたまま持たせておいたら、かなり落ち着いたのも助かった。
ワシは一度目をつむり、開くと部屋へ戻る為、踵を返した。
「ハル、一応礼を言っておくぞ」
「そうかい・・・じゃ俺はまだ調達があるから行くぜ」
ハルもまた踵を返して、夜闇に消えていった。
ワシも部屋に戻る為、足を踏み出した時、羽音が聞こえたので、そっとそちらを見ると血に濡れたような深紅の眼をしたシュバシコウが飛んで行った。
ソロモンの魔術書、ゲーティアの36番目に記載された所には26の軍団を指揮する伯爵であり、闇色の鳩とも
そして、
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