本屋の秘密

amegahare

第1話

本屋の中に警告音が鳴り響いている

どうやら、怪獣が本屋に接近しているようだ。

この警告音を合図に本屋の書店員達が活気づいていく。

緑色のエプロンを締め直した僕は急いで裏口へと向かった。

「これから出撃準備を整えます」

スマホに顔を近づけ、手短に店長へ状況を伝える。

店長は既に司令室で各書店員に指示を出している。

「了解」

店長からの短い応答。

本屋の中では、書店員達が任務遂行に向けて奔走している。

僕は裏口へ向かう通路上ですれ違う仲間達から激励の言葉を貰う。

「太郎、今回も活躍してね」

僕の名前は太郎で、搭乗型ロボットのパイロットだ。

「各書店員に告ぐ!今回はパターンCでいく」

本屋の店内放送から店長の指示が飛んでくる。

「パターンCだって!?」

どよめく本屋内。

パターンCはラノベコーナと写真集コーナの総入れ替えを意味する。

ちなみにロボットの攻撃力は本屋内の本の配置で決まってくる。

だから、パターンCは迅速に行わなければならない。

「パターンCかぁ」

僕は独り言を呟きながら、これからのロボット操作を頭の中でシミュレーションした。

裏口に到着した僕はロボットのコクピットに身体を滑り込ませて、手早く起動の準備にとりかかる。

コクピット内のスピーカーから店長の声が聞こえてくる。

「太郎!想定よりもラノベの売り上げが多い状況だ。今回はいつもより多めに、ロケット砲の弾数は十発に設定しろ」

「ありがとうございます、店長!」

ラノベの売り上げが好調なため、今回は攻撃力を高めに設定できそうだ。

ロケット砲の弾数が十発もあるのは心強い。

これもアニメ化された作品達のおかげかもしれない。ありがたや。

僕は店長の気遣いに感謝しつつ、ロボットの起動画面に目を凝らす。

日頃のメンテナンスのおかげで、トラブルも無く、起動準備が完了。

「太郎、出撃します!」

声高に宣言して僕はロボットと共に怪獣討伐に向けて出撃した。

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