念願の…

先週末のバイト終わり

隆一郎さんの方から声をかけてくれたんだ。


「雪兎から聞いたけど、お家にお邪魔させてもらっていいの?」


「隆一郎さんさえよければ是非!!!!!」


という事で、

今日から1か月

隆一郎さんと同居することになったんだ。


勿論、ちゃんと両親には報告済み。


「雪兎君のお兄さんが一緒に住んでくれるなら安心ね~。」

とか言ってた母親。


そう思うんなら、長期出張からさっさと帰ってきてくれ

と思うんだけどな。


バイトの帰りは隆一郎さんが送ってくれることになったから

最後まで仕事をするようになった。


「伝票整理、早くなったな。」


「毎日やっているわけじゃないから、まだまだだけど…。」


普段、褒められることがないから少し照れてしまう。


「それでも、ずいぶん助かるよ。

 売り場の方もだいぶ慣れた?」


「はい!商品の陳列も久谷さんが教えてくれて。

 来週からは店内POPもやってみないかって言ってくれてて。」


久谷さんは僕より2つ年上のアルバイトの先輩。

大学生で、メガネのちょっと背の小さめの女性。


とてもきれいな文字を書く人で

その人の書くPOPはとてもおしゃれ。

そんな中に、僕の書いたものが混ざるかと思うと結構プレッシャーかかるというか…

嬉しい気持ちはあるんだけど

来週までにどうやったら文字がキレイにかけるようになるんだろうかと

かなり不安にも思っていたり…。


「あんまり、無理はするなよ?

 樹君になにかあったら、俺が雪兎に怒られてしまうからな。」


「無理はしてませんけど…

 バイトの誘い断っておいて気にしてるっていうのも

 ちょっと変な感じですよね~。」


「まぁ、雪兎にしてみれば一緒に遊ぶ時間も減るってことだし?

 口うるさい兄貴と一緒に仕事なんてとんでもないってとこなんじゃないのかな。」


「う~ん… そんなものなんですかね?」


誰かと一緒に食事をしながらの会話

朝起きて、隆一郎さんに挨拶して

一緒に朝食を食べて…


僕のあこがれていた日常に

念願のお兄ちゃんがいる!


そんな状況はとても僕のテンションをあげてくれた。



そして…

夜、なかなか寝付かれなかった僕は

翌朝寝坊して隆一郎さんに起こされた。


何か。。。

ちょっと恥ずかしい。

でも、今までに誰かに起こされた記憶がなくて

そんなこともちょっと嬉しく感じた。


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あこがれの人 ビターチョコ @nikore

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