あの日本屋で出会った君に僕は恋をしました。

三愛紫月

君と僕

駅前の本屋さんで、出会ったのが君だった!


僕は、あの雨の日に雨宿りがわりに本屋ここに入ってきて、君を見つけた。


女性向けの雑誌を熱心に読んでいるのが、君だった。


そう、一目惚れってやつだ。


一目惚れって、もっと身体に電流が走るぐらい衝撃的なものなのだと僕は勝手に思っていた。


しかし、現実は違った。


ただ、心臓がドキドキと音を立ててなるだけに過ぎなかったのだ。


もっと、お喋りになると思っていたのに……。


無口になった。


僕は、君に声をかける勇気がないまま。


この日は、帰宅した。


それから、毎週駅前の本屋にコンビニに寄るぐらいの気楽さで通ってはみたけれど……。


一度も、君に会う事はなかった。


そして、あの日から一週間経ってしまった。


いつものように、駅前の本屋に寄ってみると……。


今日は、君が存在していた。


心臓は、うるさく鼓動を叩いていた。


どうやら、君は水曜日にしか現れないようだった。


出会った日と同じように、君は女性向け雑誌を読んでいた。


声をかけようと試みるけれど、その領域に入る事すら出来なかった。


そして、君は出て行った。


「はぁーー」


僕は、本屋から出てため息をついた。


大丈夫!


僕は、また水曜日この本屋にやってきた。


まだ、チャンスはある!


大丈夫!


そう、言い聞かせ続けた。


今日も、君が帰ってく。


『声、掛けなくていいのか?』


『ああ!もういいんだ』


『せっかく、待ってやったのに……。馬鹿だな!人間って』


そう言って、彼は頭を掻いていた。


『お待たせしました。行きましょう』


僕の言葉に、彼は笑っていた。


僕は、あの雨の日を思い出していた。


あの日、僕は君に恋をしたんだ。


だけど、その時にはもう……。


『死んでたんだよ』


彼は、僕の心を読んだようだった。


『何で、忘れてたのでしょうか?』


『それは、君が待ってくれって言ったからね!彼女に、告白するって』


『やっぱり、僕……』


『どうぞ』


僕は、走り出していた。



















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あの日本屋で出会った君に僕は恋をしました。 三愛紫月 @shizuki-r

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