エピローグ1 静香と静江
第51話 もう~メアリーさんは恥ずかし屋がりですね
朝になり静香は昨日の夜のことをみんなに話した。
もちろん、静江の記憶を思い出したことを伝えたのであって決してメアリーとベランダでディープキスをしたことは伝えていない。
「にわかに信じられませんが今の静香は静江さんの記憶があるということなんですね」
「うん。だから三百年前メアリーさんとなにがあったのかちゃんと覚えているし、記憶を思い出しただけだからちゃんと帆波ちゃんたちの記憶をしっかりあるよ」
「それは良かったですが……」
帆波は静香の話を聞いてくれているが半信半疑の表情を浮かべていた。
静香も帆波の立場だったらすぐに信じることはできないだろう。
そしてきっと帆波たちが心配している記憶のことも伝える。
それを聞いた帆波は安堵のため息をこぼす。
「今の静香は静江の記憶もあるんだ~。それじゃー昔のメアリーってどうだったの」
「今よりも傷ついていたね。私が声をかけなかったらどこか消えような雰囲気だったよ」
帆波と違って天音はすんなり静香の話を受け入れる。
いつもは子供っぽいのにこういうところは大人である。
「あまり我の昔話はするな。あの時は我も色々大変だったんだ」
静香が昔のメアリーのことを話すと、メアリーはあまり思い出したくないのか恥ずかしそうに頬を赤く染め、静香を制止させる。
「もう~メアリーさんは恥ずかし屋がりですね」
そんな照れてるメアリーもまた可愛い。
「……どうやら本当に今の静香は静江さんの記憶を思い出したらしいですね」
「うんうん。静香だったらこんなにメアリーさんにデレデレしないもんね~」
「凄く、ラブタブだ……」
メアリーに甘い声を出す静香を見た三人は、静香が本当に静江の記憶を思い出したことを確信する。
「そこで私が静江の記憶を思い出したことを実感するのっ」
静香は三人の反応に驚いていたが、冷静に考えると三人の反応はいたって普通だ。
最初、あんなにも印象最悪だったメアリーと今はこうしてラブラブなのだ。
三人が納得するのも無理はない。
「でも安心して。私は静江の記憶を思い出した静香だから、静香であることには変わりないから」
今の静香は静江の記憶を思い出した静江だと、静香は思っている。
だから静香的にはこれからも三人とは友達でいたいと思っている。
「ちゃんと私たちの記憶をあるようですし、私はこれからも静香とは友達でいたいと思っています」
「私も~私も~。静香は静香だし」
「私も二人に同じだよ。私も静香ちゃんと友達だから」
静江の記憶を思い出した静香を帆波たちは受け入れる。
それが嬉しくて思わず涙がこぼれそうになった。
「良い友達を持ったな静香」
「うん。私は幸せ者です。こんなにも素敵な友達がいて、愛するメアリーさんがいるんですから」
良い友達に恵まれた静香を嬉しそうな眼差しで見つめるメアリー。
メアリーの言うとおり、今の静香は本当に幸せ者である。
三人の友達がいて、愛する吸血鬼がいる。
さすがにメアリーが吸血鬼だということは三人には言えないため、そこはぼかしているが。
「またメアリーさんに会えて私は幸せです」
静香は三百年ぶりにメアリーに会ったのだ。
もっと、メアリーの体や体温を感じたい。
「本当にラブラブだったんですね、メアリーさんと静江さんって」
帆波はラブラブな二人に祝福を通して少し引いていた。
「でも本当に静香ちゃんが静江さんの生まれ変わりだったんだね」
幸せそうな静香とメアリーを見て月も嬉しそうな表情を浮かべる。
「あの~、私が言うのもあれだけど、三人はどうしてそんなに受け入れが早いの」
今までスルーしていたが、三人の対応力が凄い。
静香自身、まだ混乱しているところがあるのに三人はどうしてそんなにもすぐ受け入れることができたのだろうか。
「正直を言うと私も困惑していますが、話している感じそこまで今までの静香と変わりありませんから。少し大人っぽくはなったと思いますが特に問題はないです。それに私たちとの記憶もちゃんとあるようですし」
「私はどんな静香でも好きだから~問題ナッシングー」
「あまりいつもの静香ちゃんと変わらないからすんなり受け入れられたというか……それに私自分の前世とか興味あるし、その手の話は大好きだから」
帆波は困惑はしているがいつもの静香とほとんど変わらないから問題はないらしい。
天音はいつも通り能天気で、月はそういう話は結構好きらしく、受け入れることはできたらしい。
本当に良い友達を持った。
「ありがとう……みんな」
静香はこれからも友達でいてくれる三人を抱きしめる。
静香に抱きしめられた三人は一瞬ビックリした表情を浮かべながらも笑顔を浮かべる。
自分を受け入れてくれる友達と愛する吸血鬼がいる日常。
静香にとって、今が最高に幸せな時だった。
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