第42話 ……それってプロポーズですか
「どうしてあの時我が見えたんだ」
「えっ、だってそこにいましたから見えたんですよ。なにを言っているんですか?」
認識阻害を使っている時、基本メアリーの姿は人間には見えない。
その答えを聞きたくて質問するメアリ―だが、返って来た答えはあまりにも普通の答えだった。
そこにいたから見えた。
言葉にすると当たり前のことだった。
「いやだからな、我は吸血鬼でさっき静江が見た時は認識阻害というものを使っていてでね。普通人間の静江には見えないはずなんだ」
「へぇ~吸血鬼がなにか分かりませんが、メアリーさん吸血鬼なんですね。もしメアリーさんが見える私ってもしかして吸血鬼なんですかね」
「それはない。お前からは吸血鬼の気配がしない。まごうことなき人間だ」
メアリーがなぜあの時のメアリーが見えないかを説明しても、静江はあまり理解していないようだった。
吸血鬼のメアリーだから断言できるが、静江は間違いなく人間で吸血鬼ではない。
「では私からも質問良いですか。メアリーさんはどうしてあんなにも苦しそうで死にそうな顔をして歩いていたんですか。もしなにか嫌なことがあったり苦しいことがあったら私に話してください。ここはそういうお店なので。話すだけでも楽になることはありますし、私の体を使ってメアリーさんを癒すことも可能です」
一見謙虚そうな男の娘だが、仕事熱心で心優しい一面もありメアリーの苦労や疲労を取り除こうとしている。
今のメアリーは身体的にも精神的にもかなり疲弊していた。
そのため、メアリーは見ず知らずの男の娘にこれまでの経緯を話した。
メアリーの話を聞き終えた静江は静かに涙を流す。
「それは……大変でしたね。……メアリーさんはよく頑張りました。偉いです。メアリーさん苦しいなら泣いた方が楽になりますから泣いて良いですよ。こうすればメアリーさんの泣き顔は誰にも見られませんから」
静江は優しい声でメアリーに話しかけながらメアリーの頭を自分の胸に抱く。
静江に抱かれたメアリーは今までの疲れと苦しさがあふれ出し、自然と涙がこぼれ出す。
静江の胸はなぜか母親のように安心でき、その後もしばらくは涙が止まらなかった。
何分、時が経ったのだろう。
「少しは楽になりましたか」
「あぁー、ずいぶん楽になった」
静江が穏やかな顔でメアリーに話しかける。
静江のおかげでかなり心が楽になった。
「すまない。着物を汚してしまったね。弁償するよ」
「気にしないでください。予備はたくさんありますので」
涙や鼻水で着物を汚したことに罪悪感を抱いたメアリーは弁償すると言ったのだが、やんわりと静江に断られてしまった。
「それにもう着物は使いませんので」
「なぜ急に脱ぎだしているのだ」
「それはもちろん、今度はメアリーさんの体を癒すためです。心が癒されたら最後は体を癒すだけです」
またも急に着物を脱ぎだす静江に困惑するメアリー。
裸になった静江はメアリーを押し倒し、妖艶な笑みを浮かべる。
メアリーは吸血鬼で静江は人間だから、力は圧倒的にメアリーの方が強い。
それに関わらず静江に押し倒されたのは、体が静江を受け入れている証拠でもあった。
「いや、別にそこまでしてくれなくても大丈夫だぞ」
「いいえ、そんなわけにはいきません。ここはこういうお店です。大丈夫ですメアリーさん。メアリーさんが処女でも私はプロです。優しくリードしてあげます。メアリーさんは仰向けに寝ているだけでとても気持ちよくなれますから」
エッチを断ろうとするメアリーだったが、静江は強引にもメアリーとエッチなことをしようとする。
メアリーは抵抗する間もなく裸にされ、静江の前に大きな乳房があらわになる。
張りと弾力を兼ね備え、おっぱいが重力にさからっている。
桜色の乳首と乳輪はとてもきれいで女性の理想の胸だった。
「メアリーさんのおっぱいとても大きくて綺麗ですね」
静江はそう言いながらメアリーのおっぱいを舐め始める。
その瞬間、今まで感じたことのない快感がメアリーを襲う。
その後、力では圧倒的に勝っているメアリーは静江に何度も食べられ、体が動かなくなるまでいかされた。
でもそこに不快感はなく、終わった後は形容できなほどの幸福感に包まれていた。
体が動かなくなるまでエッチなことをした二人は裸のまま同じ布団で寝ていた。
「はぁーはぁー、メアリーさんって結構体力ありますね。私も疲れちゃいました」
静江も相当体力を使ったらしく、終わった後もしばらく息が絶え絶えだった。
「静江のおかげで体も心も疲れが取れた。本当にありがとう」
「そう言ってもらえるとご奉仕したかいがあります」
もちろんメアリーも静江と同じように疲れているが、この店に入る前の身体的疲労や精神的疲労はすっかりなくなっていた。
そのことにお礼を言うと静江は本当に嬉しそうな表情を浮かべる。
「この地で初めて会った人間がお前で私は幸せ者だ」
「……それってプロポーズですか」
「いや、そういうわけではないが……」
「もし私がほしいなら身請けしませんか。私、自分で言うのもなんですが安いですよ。それに身請けしてくれればさっきのことが毎日やり放題です。毎晩メアリ―さんを癒してあげます。お買い得ですよ」
見知らぬ土地に来て初めて出会った人間が静江で本当に良かったとメアリーは思う。
極東に来たばかりのメアリーは殺し合いの後ということもあり、身体的にも精神的にも疲れていて気が立っていた。
でも静江に奉仕されたおかげで今日はゆっくり休めそうだ。
メアリーはただ感謝の言葉を伝えたつもりが、なぜか静江はその言葉をプロポーズと受け取ってしまう。
さすがのメアリーも困惑してしまう。
静江はメアリーに買ってほしいのか、自分を買うとどういうメリットがあるのか熱弁する。
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