第38話 健全すぎるよ~
「天音、さすがにそれは言いすぎです」
帆波が天音を注意するが、絶妙にフォローになってなくて面白かった。
「やっぱり男はそんなにも女の胸が好きなんだな」
メアリーは胸元を広げて不思議そうに自分のおっぱいを見る。
「……これが格差社会」
月は自分の胸を持ち上げながら落胆していた。
「まぁーまぁーそんなことは置いといてせっかくみんな集まってるんだから王様ゲームでもしようよ~。夜だから~」
女の子の胸をからかって遊んでいた天音だが、もう遊んで満足したの強引に話題を変える。
「なんだ王様ゲームというのは」
「簡単に言うと、割りばしを人数分用意して、五人で一斉に引いて王を引いた人がなんでも命令できるゲームだよ~。命令は絶対で必ずしないといけないルール。でもあまり過激なことは命令しないでね~。例えばセ〇クスとかはさすがにやりすぎだからね~」
意外にもメアリーは王様ゲームを知らないらしい。
これは意外だった。
王様ゲームを知らないメアリーに月は分かりやすく王様ゲームを説明する。
「それは面白そうだな。我もやってみたいぞ」
ルールを聞いたメアリーは意外に乗り気らしく、やる気満々だった。
「さすがに男女で王様ゲームは破廉恥じゃないですか」
「なにを言ってるのっ帆波。男女でやるから面白いんじゃ~ん」
静香の思っていることを代弁してくる帆波。
男同士もまぁーまぁー地獄だが、男女になるとまた違うベクトルでヤバい。
男女ということは命令される側が男女という組み合わせもあるということだ。
つまり、男女でキスするということもあり得るということだ。
やっぱり天音の目的は男女で起こるハプニングのようだった。
「なんか、面白そう」
意外にも月は乗り気らしく、王様ゲームに前向きだった。
「そんな変な命令しなければ面白いと思うから私もやってみたい」
静香もおおむね賛成である。
もしこれが見ず知らずの男女だったら反対するが、この四人にはある程度信頼はしている。
だからある程度の命令だったら特に拒否感はない。
「なら決まりだね。王様ゲームしよう~。それじゃーみんな割りばしを掴んで、王様、だーれだ」
賛成四の反対一。
もちろん、民主主義の日本では多数派の意見が優先されるので、王様ゲームはやることに決定した。
そして天音の号令と共に割りばしを掴み、自分の割りばしを見る。
四だ。
「私が王様だ~」
最初の王様は天音らしく、とてもニヤニヤしている。
一番当たってはいけない人に当たってしまったようだ。
「最悪ですね。まさか天音に王が当たるなんて。もし天音が本当に王様になったらすぐにクーデターが起こりますね」
「あまりの言われように天音ちゃん、ショック~」
天音が王になったことが本当に嫌らしく、罵声を浴びせる帆波。
確かに天音が本当に王になったら、すぐにクーデターが起こる未来しか見えない。
天音もショックを受けているが、どうせ口だけで本当はショックなんて全然受けていないだろう。
「それじゃ~、三は恥ずかしい暴露話をする」
「わ、私だ」
どうやら三番は月だったらしく、声が震えていた。
「それじゃ~、私たちが知らない暴露話をどうぞ」
「え、えっ~と。……高校一年生の時女子トイレが物凄く混んでいたので、こっそり男子トイレを使ったことがあります」
天音の無茶ぶりに月は真摯に答える。
「えっ……マジですか」
珍しく帆波が引いていた。
静香もあまりにも衝撃的なカミングアウトに言葉を失っていた。
「男子トイレで用をたすなんて、もしかして月、なにか目覚めちゃった?」
「目覚めてません。あの時は本当に緊急事態で、ヤバかったから仕方なく使っただけだよ」
追い打ちをかける天音に、月は必死にな言いわけをする。
法律的にもやむを得ない事情がある時は異性のトイレを使っても良いことになっているし、そもそも見た目から男か女なんて分からないから極論を言えばセーフだ。
「なるほど、王様ゲームというのはこうやるのだな」
初めての王様ゲームを見て、メアリーはルールを理解したようだった。
「それじゃー次に行くよ~。それじゃー、王様だーれだ」
「……私ですね」
「はぁ~帆波か~。つまらなそう」
第二回戦が始まり、天音が号令をかける。
次の王様は帆波らしく、小さく手を上げる。
それを見た天音は露骨にテンションを下げる。
「失礼ですね。では命令です。一番はその場で腕立て伏せを十回してください」
「うわぁ、私~」
帆波らしい真面目な命令を受けるのはさっき王様だった天音だった。
天音は渋々腕立て伏せを行う。
「健全すぎるよ~」
天音が意味不明なことを叫び、二回目は終わる。
その後、王様ゲームをしていったのだが月が欠伸をし始めたので次で最後にすることにした
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