第22話

 〈天河流:三日月〉〈天河流:星刻〉 まばたきの間に何度も刀を叩き込む。練られた気によって引き上げられた脚力による突進、刀に込められた気による爆発する斬撃が魔物に大きなダメージを与える。

「はぁっはぁっ」

魔物がいったい崩れ落ちていく。そしてそのまま 消滅。一体は倒せた。だがもう一体は左足以外が切り落とされ、全身が切り裂かれてえぐられているのにまだ立っている。まだ残っている気で突進。刀を振る。がもう脚を再生させた魔物の蹴りで防がれる。腕を再生させた魔物が連打を放つ。刀の峰でそれを受け流す。回し蹴りを後ろに下がって避ける。バンッ!と気が爆発する音がする。刀を突き入れ、横に薙ぐ。回復がさっきより少し遅くなっている。魔物の強さは気の流せる量と持っている量に比例する。一定以上のダメージを受けると動きが遅くなる、再生が遅くなる等少しずつ弱くなっていく。戦力差がある場合は少しずつダメージを与えて出せる威力の攻撃で討ち取れるまで弱らせる方法をとる。俺たちのは例外だが。

「はぁっ!」

横縦の二連撃。魔物は後ろに下がるーーと見せかけてそのまま切られながら突っ込んでくる。

「っ!!」

切られながら突っ込んでくるとは……頭を使った戦闘をしてくる魔物はかなり少ない。基本ほんとに上の一握りの騎士しか対応できないし、めったにでてこない。縦切りの形からギリギリで攻撃の軌道に刀を割り込ませる。拳が刀に吸い込まれるーー ゴッ!という音と共に体がくの字に曲がって浮き上がる。

「がっぁ! げほっげほっ…」

咳き込みながら後ろに後退していく。魔物が溜めを作り始める。今度は俺と魔物両方の突進。互いに走り出す。俺は左肩に刀を構える。それに合わせるように魔物も肩の高さで拳を構える。魔物が先に拳を打ち出した。と同時に拳の軌道から俺が消える。魔物には消えたように見えたはずだ。少し脱力気味になり足を開いて体を沈める〈天河流:霧散〉 そのまま足に刀を叩き込む。がっ! と音がして魔物の右足が吹き飛ぶーーが両足を切るには至らず。この技は型の性質上突進力がかなり削られる。故に少々危険ーリスキーな技だ。特に反応の鈍いやつ相手にはそこから二撃目、三撃目、と繋げていける。はたして…二撃目を繰り出そうと体を回転させた俺の攻撃が届くよりも先に、魔物は左足一本で飛び上がった。そのまま宙で右足を再生させ始める。

「くそっ! ん?」

魔物の後ろの屋根に人影が。手には刀。騎士だ。

「増援……」

屋根から人影がだっ!と飛び上がり、地面に落ちていく魔物の上から大上段で斬りかかる。

「はぁっ!」

真っ二つ。そのまま魔物は崩れ落ちていく。そしてその騎士の影の元で霧散。

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