第18話
巡回。持ち場について直ぐの戦闘が五時間近く経過した。俺の足元で転がっている魔物に気を集中させた切っ先を突き刺す。爆散。跡形もなく消える魔物。ここまででさっきのヤツを含め4体討伐した。
「いつもより多いな」
大抵一体、出ないときもある。しかし最初のヤツ以外はそんな強いわけではない。さっきのヤツも真正面から刀を一閃してふらついていたとこを踏み倒して終了だ。そろそろ寝静まってくる頃だ。再び俺は巡回を始める。
一時間がたった。異変はない。向こうから人影がくる。少し身構えるが、直ぐに交代しに来た騎士だと気づき駆け寄る。
「待たせた。交代だ」
「はい。では後よろしくお願いします」
「おつかれさん。ゆっくり休みな新人」
「では失礼します」
そういって俺は大通りの方へ戻っていく。まだ感知はやめない。一人より二人だからだ。大通りまで出て歩く。途中の自販機でオレンジジュースを買って飲む。
正門の方に行くとちょうど翔が歩いてきた。
「お疲れー」
「おう、お疲れー」
「いやぁーつかれたわ!」
「俺のとかなんかは四体出たぞ」
「俺のとこは二体だ」
「どっちも今日は多いな」
「お前のとこはちょっと異常だな」
「あぁ、報告したら多分そういわれると思う」
「立て続けだとさすがにまずいからなー。ん?……」
俺たちはなんとなく大通りの方を向く。何かが居る。三人?
「おい……?」
身の毛がよだつ。俺はとっさに気を広げて感知をする。
「翔!走れ!」
そう叫びながら俺は駆け出し抜刀する。一瞬遅れて翔もその場を飛び出した。それに対して魔物はこちらに背を向け駆け出す。
「おい!ヤバイぞ!大通りの方に向かってる」
魔物たちは左へ曲がった。
「まずい。見失う……」
更に脚に気を重ねてかけ、脚力の限界をを引き上げる。バン!と音を立てて俺は駆ける。大通りが目の前だ。右を向く。 黒い塊が飛んできた。
「っ!!」
あわてて刀に手を添えて、気で盾を作る。ボンッ!と弾ける音がして俺は吹き飛ばされて地面を転がる。魔物たちを見る。確かに三体だ。しかし何か違和感がある。
「おお…きさ?」
確かに大きさが違う。真ん中の一体に比べて両脇の二体は小さい‥いや真ん中のヤツがでかすぎるんだ。しかも保有する気の禍々しさが普通じゃない。俺は前で魔物と対峙する翔に向かって叫んだ。
「翔!こいつはヤバイ。増援を呼んだ方がいい!」
「みたいだな!俺が呼ぼう!」
俺は翔のそばに駆け寄り五芒星を目の前に描く。込められた気の色は金。防御の結界だ。その間に翔が連絡を取る。
「はい、はい。そうです。三体でそのうちの一体がかなり大きいです。ーーーーー分かりました。」
「どうだ?」
「直ぐに出せるのは一人だけらしい。他のところにも何人か増援が行っているらしい」
「同じことが複数の場所でってことか」
「あぁ」
「取り敢えずこいつらを処理しないとどうにもならん。俺が端二体を受け持つ。翔はあのでかいヤツを。」
「わかった」
「気を付けろ。気がすごいぞ」
「分かってる。 というかあいつら、民を狙っていないな」
「…言われてみれば…… とにかくいくぞ! 3 2 1 行け!」
そういって駆け出す。でかいヤツがこちらを見る。その瞬間異様な感覚に包まれた。まるで威嚇によって竦んだ小動物のように……俺も翔も動けずにいた。ゆっくりとでかいヤツが此方に向かってくる。五芒星を描きそこに気を注ぎ込む。その色は赤。燃え上がるような強いエネルギーがこの竦みを吹き飛ばしてくれるはずだ。そのまま五芒星を翔の方に広げる。力を込めて解放。
「動いた……」
だっ!と再び駆け出す。それと同時に気を練って身体に強い結界を張る。翔も同じように結界を張っている。そのまま俺は端の一体に斬りかかる。
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