第12話
その後、本田中尉や稽古をしていた騎士の人たちと昼飯を食べに行った。
「どうだ?ここの飯はうまいんだよ」
この人は東良さん。騎士15年目の頼れる30才だ。黒髪の短髪だ。
「はい、すごいうまいですね」
東良さんの行ったとおり、ここの飯はうまい。
「でもどうしても大衆食堂感が否めないんだよ」
とボソッと呟くのは東良さんと同期の坂本さん。あごひげが特徴的なダンディなお兄さんだ。
「皆さんは良く外に食べに行ってらっしゃるんですか?」
と俺が訪ねると、
「思ったよりいってるな。ゆうて、ここの人はうどん屋とかの大衆料理屋に行くやつがが多いけどなw」
と笑いながら答えるのは、白川さんだ。騎士歴10年の28才。15から三年間2年制高等学校に通っていたらしい。
「あんまり良さげな店とかには入らない感じですか?」
と聞くと、
「いや、隊長は外で食べまくりだし、副隊長も良く寿司を食べにいってるよ。おれは良くラーメン屋に行く」
と本田中尉。以外だ。本田さんなんかは食堂でちゃっちゃと済ませるタイプかと思ってた。
「おれら騎士は命懸けの仕事だからな。ちょっと良い飯食うくらいのお金は有るんだよ」
「へぇ~、そうなんですね」
「ガチだよ。お前も新緑から抜けたんだからそれなりのが入るぞ」
「主力五部隊になるとそんな感じなんですね~」
「あぁ、星川、お前も頑張れば色々と良くなるから」
「で、正治。昼からはどうするんだ。」
「隊長の報告を聞く。こいつも当事者だからつれていく」
「俺たちは半分が町に出て巡回、もう半分で、修理だな」
昼を済ますと三人と別れ、本田さんと俺は隊長室に向かう。部屋にはすでに隊長と副隊長がいた。
「おう、来たか」
二人の真正面に座る。
「まず最初に本部に行ってきた。報告したがそんな前例は記録に残っていないそうだ。同じく黒い球体についてもないそうだ。それで次に歴史家のとこに行ってきたんだがそれもほとんど収穫無しだ。ほとんどと言ったのは、100年ほど前に小さな酒場に6体ほどが一気に突っ込んできたという記録があるらしい。そこには、かなり腕前の良い騎士が二人、酒を飲んでいたということだ」
「今回の件と少し似てると思わない?」
「確かにそういわれると似ているような感じがする」
「ただ、時間帯と戦力が違うというところで一概には言えなそうですね」
「確かにその二人というのは強いが驚異となるほどではないはずだ」
「そうはいっても可能性として残しておいた方が後々困らないでしょう」
「あぁ、星川の言う通り排除はせずに調べ続けた方がよさそうだ」
「その面については歴史家との協力という形を取るべきと本部に進言しておくわ」
「あぁ頼んだ。それでもう一つ、星川が出したという六芒星なんだが、無意識に昔から使っていたのではないかと思って、お前の友人らに聞いたんだが、そんなことはなかったらしい。それで歴史家にも行ったが…収穫無しだ」
「ではそちらのほうは全くなにもわからないということですか」
「あぁ、それでこの話はお前の所属する金烏隊の隊長の俺に一任されることになった。気長に調べろ、ってことだな」
俺のあの星については結局わからなかったみたいだ。この一件についてはめぼしい成果もないまま終わってしまった。
その後、広場に行って少しの間気を練り、星を描いた。感覚で描くように意識したが、結局馴染みの五芒星ばかりでこれも収穫無し。そのまま、片付けやら修理やら掃除やらに参加して汗を流して一日は幕を閉じた。
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