第11話
朝だ。昨日を吹き飛ばすかのような明るい陽光。移籍初日からひどい目にあった。午前7時20分。まだ正式所属ではないから起きる時間はいつもより遅い。結構寝たんだが疲れがあんまりとれていない。まぁ一応夢も見ずに寝てたからぐっすりだ。今日は本田さんに駐屯地を案内してもらうことになっている。早速食堂にいき、朝飯を食べて準備をする。任務ではないので制服ではない。うーん、洋服にするか和服にするかで迷う… うしっ!和服にするか!黒の袴と藍色の服を着て刀を腰に差す。腰の後ろのほうにポーチをつけ、黒の羽織を羽織る。和服とは言うがラフなものなので軽い素材でできているし、高級感っぽいものはあまり感じない。一応もっとラフな服装はあるのだがさすがにそれはいけない。時間を見ると待ち合わせの時間の9時に近づいていたので部屋を出る。
「本田中尉、おはようございます」
「うん、おはよう、星川くん。昨日は助かったよ。周りの魔物がいないおかげで戦いやすかったそうだ。」
「それは良かったです。」
「じゃあ案内するよ。いこう」
「よろしくお願いします」
「ええと、ここが本部だよ。門の正面にある。その左側が宿舎、ほとんどの騎士がここで寝起きをしている。もういってると思うけど食堂が併設されている。ただ見回りも兼ねて外で食べることも多いけどね」
「そうなんですね。新緑にいた頃はずっと食堂でした」
「そうか、じゃあたまには外に食べに行くといい。良い食生活は健康には欠かせないからね」
「はい。巡回も兼ねていろいろ巡ってみます」
「あぁ、じゃあ次いこうか」
「本部の後ろの右側には鍛練場がある。皆ここで訓練をする。向かって正面の開けた土地は平地戦闘のためのところだ。左側の丘にと森は機動力の訓練に使う。鍛練場の前にあるのは倉庫だ地下まで続いてる。食料や武器がたくさんはいってる。奥の屋敷はまぁホテルみたいなもんだ。訪問者とかが泊まる。非常時には避難所にもなるんだ」
「あー、本部にも在りましたね」
「本部よりは全体的にコンパクトだけどな」
「まぁ本部は最大の部隊を二つも抱えてますから」
「まぁ多すぎるとオレの管理が大変になるから良いんだよこのままで」
「大変ですね、全く」
「全くだ」
鍛練場に入る。筋トレ用の器具に打ち込み稽古用の丸太に気術を打ち込むための的、三次元軌道の練習用の平均台に家の側面を模したもの、さらには電柱といった騎士として求められる力を鍛えるための道具が揃っている。
「どうだ!今はぼっこぼこだが鍛練場に関しては本部にも劣らぬ揃えをしてる自信がある!」
「そうですねぇ、すごい充実してますねほんとに。ぼっこぼこなのを無視れば」
「最新のものが揃っているんだ!特に筋トレ!これに関しては一番だ!まぁ、また取り寄せないといけないんだが」
隣で本田さんが興奮と落胆をまるでサインカーブのように繰り返している。あぁ、なんか言葉を返しづらい。
「ほ、本田中尉。倉庫のほうに行ってみたいです」
「んぁ、す、すまんな。トレーニングが好きでな。良くここで筋トレをしている。興奮しすぎた、次を案内しよう」
「着痩せするタイプなんですね」
倉庫に入る。今度は俺が目を輝かせる番だった。俺は武器、そのなかでも刀の類いが好きだ。子供の時に警邏騎士団だったおじいちゃんに影響を受けたのだろう。
「うぉー!すごいですね」
「昔から受け継がれてきたものや、騎士が引退するときに、自分の特注の武器をここに納めていくこと多いからな。また後での話にはなるんだけどお前も武器を揃えるときはここから使っても良いんだぞ」
「いいんですか?後でじっくり見させてもらいます」
「おぉ、それでその横は防具や衣服等の物だ。後ろにあるのは食料だな。他にも色々在るがそれは後々話す。では次にいこう」
このあとも色々と紹介をしてもらった。途中で会った騎士の方もいい人ばかりで安心だ。
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