第10話

 広場までの道中は全く苦労しなかった。なぜならば副隊長が強すぎるからだ。おかげで俺は全くつかれてない。副隊長と俺では気の練り具合が違う、俺のはまだ粗いが副隊長のものはかなり密で細かい。細かいので刀への通りも良く威力も上がる。単純明快な強さとなるわけだ。

「そろそろ広場よ」

「 魔物を多くなってましたし、間違いないですね」

「みたいね……ってなに?あれは…」

「へ?」

急に声のトーンが変わったので変な声が出た。が視線の先にはそんなことを考えることができなくなるほどの光景がそこにはあった。靄だ、禍々しい黒の靄が集まって球体を成している。副隊長の息を飲む音が隣から聞こえてくる。

「なにあれ、」

「いやー…理解不能です」

「あれが変な気配の正体っぽいわね。もう少し近づいてみましょう」

そういって副隊長が一歩踏み出した瞬間、一瞬球体が膨れ上がり霧散した。…跡形もなく。

「なっ…」

驚くのも無理もない。何せ跡形もなく消えたのだから。副隊長も俺もなにも言えずに固まる。

「ええと、仕方ないので応援にいきましょうか」

「そ、そうね…」

なんかしまらん。それもそうだ。チョットワケワカラン。とりあえず残りの魔物を斬り倒しながら向かう。他は副隊長と一緒にきた騎士が対処してくれるそう。


 その後なんとかたどり着き、魔物は殲滅された。だが疑問は残り続ける。なぜ急に大量の魔物が現れたのか、其も騎士団の主要地に。そしてあの黒い球体はなんだったのか。金烏隊の主要三人が集まってそれについて話をしている。因みに重要参考人として俺も呼ばれている。

「で、その黒い球体はどのくらいの大きさだ?」

という問いに対して副隊長が

「子供一人分くらいだったわ」

と答える。隊長がこちらを見てくるので頷く。遠目からでは視認しにくく、夜だとあんなものまずわからないだろうし昼間でも路地とかは暗い。その事も伝えると、

「そいつが魔物と関係あるとしたらそりゃぁわからねぇのも仕方ないな」

「隊長、あくまで仮説です。違う可能性も考えないと行けません」

「そんなこたわかってるよ、本田。でもな、俺のカンが繋がってるっていってる」

「はぁ、では夕焼にこれを持っていってみては?」

「俺もそうしようと思ってたところだ。悪いが須夜崎、お前も来てくれ」

「了解です」

「というわけだ。本田悪いが星川の案内と再建を任せた」

「了解」

そして解散、という雰囲気になったのだが俺は一つ質問をする。

「あのぉー、俺の新しい籠手はどうなるんでしょうか?」

一瞬前の三人の頭に?がつくがその1秒後にはあっ…という顔になる。完全に忘れていたようだ。

「んんっ! お前の新しい籠手は明後日届けることになると思う。だから明日はひとまずその緑の籠手をつけとけ」

「はい、わかりました。 待ってます」

「あぁ、じゃあ今日はこれで解散、俺と須夜崎で報告書は作っておく。おやすみだ」



 部屋に戻ると刀と鎧の整備をする。鎧は機動性を損なわないよう、西洋の甲冑とこの国の鎧を混ぜ合わせたようなものになっている。刀は去年打ってもらったオーダメイドで俺の戦闘法にあった長さになっている。整備をしながら今日のことを思い出す。俺たち騎士の使う気は体内や地面、空気中なとさまざまなところに流れている。それを練り、より極め細やかな気にするときに五芒星を描く。だがそれだけだ。6つの星形を描いた人は一人もいない。それが引っ掛かる。何か良くわからない。霧を手でつかもうとしている感じだ。初日からエライことになってしまった。、きれいに整備された刀と鎧を眺めながら俺はぼやく。 時刻は午後十時半、眠い… することを一通り片付けたので風呂にはいってベットに潜り込む。

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