第9話

 ガキッ!ガキッ!キィン! (んっ、ここはどこだ。魔物と人間が入り交じった白兵戦…走馬灯か?いや…)兵士の内の一人が持つ刀から気によるエネルギーが解放される。(俺達が使っているのよりも威力が強い上に洗練されてる?あれは…五芒の星?)しかしそこで意識が途切れていく…

何だ今のは?いややべぇ。目の前には漆黒の刃。刀に五芒の星の形に気を描き目の前の黒に叩きつける。轟音と閃光、一拍おいて橙色の一筋の光が走る。

「よく耐えた。あとは私たちに任せて」

よく通る澄んだ声に長く艶のある黒髪。

「ぁ、ありがとうございます。 副隊長、やっと戻ってきましたか」

「緑の籠手、新緑隊から来た子ね。隊長から聞いてるわ」

金烏隊の副隊長、須夜崎舞衣二等少尉だ。「出張だったのでは?」

「うん、早めに終わったのよ。それで街に入るととここで何か大きな音がしていると言われて。来てみるとこれだよ。というより何?今の。凄かったよ。星の頂点が6つだったわ」

「あの‥なんか見えたんです。走馬灯とも違うっぽい…?6つですか?俺は五芒星を描いたはずですが……」「そう、まぁいいわ。後で教えてもらうことにするから。今は集中しましょう」

「はい。」

「みんな、五人一組になって、じゃあ散開!」

「了解!」

「あなた名前は?」

「星川です」

「じぁあ星川くんは私と一緒に来なさい。少し変な気配を感じるわ。一人じゃ不安だから」

「いや、副隊長なら行けそうですけど、まぁついていきます」

「隊長は放っておいても大丈夫そうね。いきましょう」

「了解」

6つというのが少し引っ掛かるが雑念をふりはらい、俺と副隊長は変な気配の方へ走り出した。


 「何があったのか教えてもらえる?」

「はい、」

あったことをそのまま伝える。

「そう、魔物が…隊長は?」

「鍛練場へ向かいました。今の時間帯は多くの騎士が鍛練をしているらしいので」

「そう、なら安心ね。でもどうしてあなたはついていかなかったの?」

「魔物が周りにもたくさんいましたし、敷地から万が一街へ溢れだしたら、まずいなと思いまして」

「そう、考え方としてはあってるけど、まだ新人の騎士が一人でそれをするのは無謀よ」

「はい…すみません…」

「わかればいいのよ。まずは無茶をできるくらい強くなりなさい。強くなればできることも増えてくるわ」

「はい。精進します」

この国でもかなり上位の剣士として数えられる副隊長が言うとかなり説得力がある。そしてそのまま魔物を探して歩く。

「こいつらはどこからきてるんだろうね」

「さぁどうでしょう。しかし魔物が多いところを探せば何かわかるかもしれません」

「…ついてこれる?」

「え?…ま、まぁなんとか食らいついていきます。」

「そ、じぁあいくわよ」

そのまま副隊長はスッスッと歩いていくので俺は慌ててあとを追った。


 そのままいくつか魔物が集団で集まっているところに突っ込んで行くとあることが浮かび上がってきた。そう、あるひとつの場所を中心にして同心円上にいたのだ。

「匂いますね、これは」

「ええ、場所は…」

副隊長はポーチからこの場所の地図を取り出し、こちらに寄越してきた。素直に受け取り中心となる点の大体の位置を決める。

「広場です」

金烏隊の駐屯地には大きな広場が少し丘になっているところにある。同心円の中心はそこを指していた。

「よし、行くか」

「えっ?このままですか」

「ん?何か問題でもあるの?」

「やっ、あのー増援とかはー」

「そんなもの呼んでいて状況が変わったらどうするのよ。さっさと行くに限るわ」

せ、性急すぎるー! とは口が避けても言えない。星龍騎士団の幹部クラスの人はせっかちだったり、というのが多い。ここは素直に従うしかないみたいだ。

「はい…わかりました」

「まぁあくまでも偵察だやばそうだったらすっ飛んで逃げるわ」

そう言って、広場のほうへ歩き出した。

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