第7話
(星川サイド)
隊長と別れた俺は立ち止まって少し考える。敷地の全体像はある程度把握してはいる。果たしてどれくらいの数が入り込んでいるか。町にも現れていたら、他の隊の増員も要請しないと行けなくなる。玄関まで降りて外に飛び出し回りを確認する。魔物が歩き回っている、その数8。気配に気付いたのか4体がこちらを向く。時間を与えてはいけない、そう考えて最初から全開で一番近い魔物に斬りかかる。
一気に気を流し込まれた俺の刀が魔物が掲げた棍棒を魔人ごと叩き切る。返す二撃目にさらに気を流し込む。刃が二体目の魔人を捉えた瞬間に過剰に刀に込められていた気を解放し、そのエネルギーで魔人を吹き飛ばす。その音で残りの4体も俺に気付き振り替える。しかしまだ戦闘状態に入っていない。一瞬真横の魔人を先に切るか迷ったが、迷いを振り切り奥の4体の方に突っ込む。ようやくこちらを敵と認識したのか武器を生成しだすがもう遅い。「おせぇ!」と叫びながら刀を振り下ろす。そして今度は切り上げるのではなくその場にかがみ、体を回転させながら四体の魔人の足をきり飛ばす。驚きの表情を顔に浮かべながら足を失い地面に崩れ落ちていく魔人の首をきり飛ばしこちらに向かってくる残りの魔物の方へと駆けていく。今度は刀だけではなく自らの足に気を流し込む。素の身体能力ではあり得ないほどの速さで動く体が気の鮮やかな赤色の光を置き去りにする。そのまま魔人に突っ込んで行き、胴を断ち切る。残り一体。振り向く。「!!」いない。逃げたのか?と考えていると突然影がさす。「上か!!」「ぐおぉぉぉ!!」かき集められるだけの気を全て刀と体の強化に回して上からの強烈な一撃を受け止める。轟音、ついで突風。練り上げられた気と気がぶつかることによる力の解放が突風と閃光、を撒き散らしていく。切り結ぶ刃の向こう側には漆黒の鎧を纏った人間形の魔物が。その目は赤黒く光を帯びている。どうやら敷地内には階級の低い騎士では相手取ることが難しくなるような強い魔物も入り込んでいるようだ。
「早めに決着をつけたいな。お前もそうだろ?」
と声を出すと答えるかのようにさらに力を込めて押し切ろうとしてくる。こちらも呼応するように力を込めて行き…急に刀を体ごと横にずらし、相手の野太刀を俺の刀の上を滑らすようにして避ける。そしてそのまま半回転し体勢が崩れた魔物を両断する。霧上の気となって霧散していくのを見届けてからその場を立ち去る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます