第4話

 騎士長室から出ると自然と顔から笑みがこぼれ出す。全ての騎士にとって天子さまを象徴する太陽に関する言葉を冠した部隊に入り、名を上げることはすごく名誉なことで嬉しいことなのだ。それは俺も例外ではない。本庁を出るとすぐそばに海がいた。まったく、仕事すっぽかしてなにしてんだか。

「どうだったよ」

 俺は無言のまま拳を持ち上げる。海もその意味を理解したのか拳を持ち上げ、そのまま互いの拳を打ち付ける。

「いやー、やっとお前もなんだな」

「あぁ、この時を待っていたよ。ホントに人生でも一二を争うくらいの嬉しさかもしれんな」

「互いに頑張ろうぜ。因みにどこに配属されたんだ?」

「金烏だよ」

「えっ? 金烏?」

「ん、そうだ」

「うおっ。けっこういいじゃねえか。でもあそこ、けっこうきびしーって聴いてるせ。吐くんじゃねぇぞ」

「たぶん、海よりは吐かないと思うけどな。お前、反吐を攻撃に使ってみたら?」

「いやいやいや、無理だろそんなの。いや待てよ、以外と行けるのかもしれねぇなこれ」

 何故か真剣に考え始めた海を俺は慌てて止める。

「いや、海、冗談だよ。本気にすんなよ」

「本気なわけねーだろこんなもん。お前騙されやすそうだから試してみたんだよ。引っ掛かったなやーい」

 なんか腹立つなこの顔。

「その顔なんか腹立つな」

「まじ?他のやつにも何回か言われたな」「………」

「てかそろそろ行かなきゃさすがにヤバそうたわ」「そうだな。ほんとありがとうな。わざわざ待っといてくれて」

「友達だろ俺たち。このくらい当然さ。じゃあまたな!」

「おう!」


 海を見送り宿舎に戻る。一週間は仕事はなしだから準備の時間はたっぷりある。宿舎に向かうとまず管理室に入る。扉を開けてなかに入り、奥へと進む。この宿舎の管理人は、齢62のおじいちゃんだ。俺はもちろん新人から騎士団のトップまでみんなから親しまれている。

「おお、お主か、どうした」

「はい。実は新緑部隊からの移動が決まりまして。一週間後にここを出るということをお伝えしに来ました」

「おー。ようやくじゃな。お前さんはここの新緑部隊で長かったからのう。優秀で使いやすいとはいえかわいそうなものじゃ。まぁ、よかったのぅ。それで、配属先はどこなんじゃ?」

「金烏です」

「ほぅ、金烏か。そこの隊長がこの宿舎の出じゃ。いいやつじゃから安心せい。頑張るんじゃぞ。最近は魔物が異常に活発化してきおるからな。くれぐれも無茶はするなよ」

「はい。助言ありがとうございます。おじいちゃんもまだまだいけるのでは?」

「フッフッフ、ワシはもう引退して長い。さすがに無理じゃ」

 嘘やん、前に熊型の魔物涼しい顔で切り伏せてたんちゃんと見てたで!という言葉を飲み込み

「では、出るときにまた挨拶に来るので。ありがとうございました」と挨拶をする。「あいよ、一週間、ゆっくりと身体を休めるんじゃぞ」と返事が返ってくる。礼をして管理室を出て部屋に戻る。ちなみにおじいちゃんは昔は星龍騎士団の夕焼部隊で腕を振るっていためっちゃ強い騎士だったらしい。少しの間だけだが隊長も勤めたらしい。あっ、そういえば隊長にも挨拶にいかないといけない。完全に頭から抜け落ちてたな。宿舎を出て敷地内の新緑部隊の本部に向かう。

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