第3話

 翌朝、散りかけの桜の木の隙間から差し込む陽光によって目を覚ます。ベッドから起き上がると壁に設置されている伝達盤のが光っているあの場所が光っているってことは…騎士長からの呼び出しだ。寝間着から制服に着替え刀を腰にさして部屋をでる。任務ではないから鎧は要らない。

宿舎を出て真っ直ぐ本庁に向かっていると前から人が俺の方に走ってきた。

「星川~!お前担当よりも上の等級の魔物倒したんだってな、すげぇな!」

「海か。どこでしったんだよ……。まぁぎりぎりだったよ。切り結ぶまで分からなかったもんな。んで、どうよ最近は。」

「オニだよあれは。訓練とかきつすぎるし何回ゲロったか。」

「確かにな~。日暈部隊は訓練が厳しいことで有名だもんな。でも二ヶ月経てばましになるんじゃない?」「いやそれが二ヶ月経つとさらに厳しくなるんだよこれが。俺も前より体力ついてきたからましには感じるはずなんだが、きつすぎてまったくそう思わないんだよ。きつけりゃいいってもんじゃないんだけどな。」「可愛がられてるのでは?新人だし。」

「それでもよぉ。きついぜ。てか用事あるんだろ?隊長か?」

「いや、騎士長」

「えっ、騎士長か。…ということはあれかもな。」

「たぶん、というかそうであって欲しい。」

「やっとだな。おまえもついにか。」

「まだそうと決まった分けじゃないからな。とにかく行ってくる。」

「おう。またな。」

「ああ」

海と別れを騎士長室に向かう。コンコン と扉を叩くとすぐに「入れ」と声が返ってくる。「失礼します。」と言いなかに入ると昨日はいなかった騎士長が政務机に座り俺の方を見ている。

「来たか。とりあえず座れ。」

「はい。」

と騎士長に促され俺も椅子に座る。騎士長室には談話や応接用の長椅子が在るのでそこに座る。今までにも何度か座ったことがあるのだが何度座ってもこの独特の感覚に余り慣れない。そんなことを考えていると対面の騎士長が口を開いた。

「単刀直入に言うと今日ここに呼んだのは、移動の話だ。」

「っ!」

「三年間か、よく新人部隊で頑張ってくれた。これからもよろしく頼む。」

「はい。これからもよろしくお願いします。」 

きたぁぁぁ!移動の話!俺という騎士が下級魔物相手に使いやすかったのかこの三年間同年代の騎士が次々移動していくなかで俺だけかなり遅かったから実を言うとかなりもやもやしていたのだ。だがしかし。俺にもようやくそのときが来た。海、お前の言う通りだったぜ。 

「んんっ、顔から喜びが溢れ出てるぞ。まぁすまんかったな。もうちっと早くてもよかったんだがなぁ。」「い、いえ!移動できるというだけで大満足です!」「そうか、それならよかった。それで、配属先なんだが、金烏隊に行ってもらおうと思っている。」

「はい。分かりました。」

「金烏隊は北区にあるから移動してもらうことになる。めどは一週間後だ。」

「はい。」

「ではこれからも精進してくれ。」

「御意」

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