第2話
「本日夜半前、皇都南区街中にて魔物が出現、戦闘ののち討伐完了しました」
「怪我があるなら救護棟に行きなさいね」
「ありがとうございます。まぁ怪我はしてないので大丈夫です」
「そう、強くなったのね。みんなあなたくらいにはなって欲しいものね」
「まぁもう三年も騎士をしているので」
「でも最近は魔物が強くなっているみたいで担当の等級でも普通なら危険なことはないのに大きな傷をおって帰ってきたりする騎士が多くなってきてるわ。特に新人騎士はその傾向が強いから貴方も気をつけて行きなさい。…いくらか前まではこんなことなかったのにね」
そう、ほんの四十年ほど前までは魔物の活動はかなり減っていた。過去の文献によると今までも何度か活発になった時期はあったそうだがここまで激しくなったのは初めてらしい。
「そうですね。上から下までほとんどの魔物が今までよりも強くなってる」
「上級の魔物も多くでるから上の方の騎士も多く任務に出ないと行けなくて新人の方の補助に手が回らないのよねぇ」
「仕方ありません。奴らは俺たち低い階級の騎士では手に終えませんから」
「何はともあれとにかく無茶はしないように。みんなにもそう伝えておいて」
「はい。では失礼します」
副騎士長に別れを告げ、部屋をでる。…魔物が多く、すぐに階級が上がるのも考えものだな。
本部を出て、同じ敷地内にある騎士宿舎に向かい。皇都に籍を置く騎士の大半はここで生活をしている。もちろん俺もそのうちの一人だ。俺はまだ入団して三年目なので割り当てられている部屋は二階だ。三年目だと新米からある程度経験と技術を身につけた一人前騎士への過渡期の範疇だ。最も一人前と認められるには五年程必要にはなるが。佐官や隊長辺りは五階が割り当てられるが登り降りがめんどくさそうだから俺はいやだなぁなどと思いながら扉を開けて部屋に入る。部屋はそんなに広くないが一人部屋なのでそこは本当にありがたいと思う。学生寮は3人一部屋…男しかいなくて狭苦しいあの部屋はホントきつかったな~とあのむさ苦しい記憶を思い起こしながら風呂に入りベッドに潜り込む。…寝つけない…等級が自分の担当より上の魔物は始めてだったからなぁ。この国で魔物が初めて現れたのは約1500年前、まだ鉄武器が作られ始めてそれほど時が立ってない古代の時代、そこから百年ほどすると魔物はより強くなりその総数も増加した。当時、国はかなり混乱したという。その頃にはすでに対魔戦闘に特化した部隊が編成されていてそのなかに日出国の騎士も所属していたという。そして日出国の騎士を中心に魔物と闘い、少しずつ少しずつ勝利を重ねて魔物をほとんど討ち滅ぼした。そして幾度か再発はしたものの魔物がでることはほとんどなく現代まできた。そういえば星龍騎士団の前身って日出国の騎士が所属していた部隊だったな…………と回想をしながら俺は眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます