活力が有り余る男

 幸せを共有できる商品…新商品開発のアイデアを社内で募集をかけているから是非参加させてくれと部長に言ったわいいものの、なかなか難しいテーマだな。

 幸せを共有か…、幸せっていう感情をどのくらいの規模で捉えて、どのように共有するのか…。そこからしっかり探して、まとめてみるのがいいかもな。

 しかし、幸せと一つ言ったところで、何があれば幸せなのか。その幸せは分かち合うことができることなのか。これは、私個人の考えだけで物を計ってしまうと足をすくわれますね。

 私はTwitterを開き画面の右下にある青のマークを押してツイートを書き込んだ。


皆さんは他者と分かち合いたいと思う幸せはありますか?ぜひともリプで教えてください。


 まあ、80人程度のフォロワーしかいない私のツイートに反応をしてくれる方なんていないとは思いますが…、まあその時には部の仲間や、色々SNSを漁って調べてみるとしましょう。

 私はバスを降りると私の幼馴染の菊池章介がいた。章介は30にもなって若く見えていて、さらにアクティブな彼は少々羨ましい。

「春輝!おつかれ!」

「まさか待っているなんて思わなかったよ。どうしたんだ?」

「いや、あのさ〜、実は妻と喧嘩しちゃってさ、家帰り辛くて…」

「あの若菜さんを怒らせたのか!?何やったんだよ」

「だからさ…、愚痴も少し言いたいし、仲直りもしたいからさ〜、居酒屋行こ?」


 長い付き合いの友人の頼みを断ることはできず私と章介は一緒に近くの居酒屋に寄った。

 章介はまず私に妻の若菜さんとの喧嘩の原因と不満をぶちまけた。しかし彼は自身の妻をしっかり愛している。真剣に自身の非を認めて反省をし、仲直りの方法を考えていた。その後彼は酔っ払ってしまい、仕事での愚痴や惚気など、なかなか面倒臭い置物に変わってしまった。見た目のせいで酒を飲むおっさんというよりも、お酒デビューの大学生にしか見えない。

 そのあと私はヨロヨロになった章介を彼の家にまで送って行ってから自分の家に帰った。

 そしてふと思い出してTwitterを開いてみた。すると驚くほどの通知が届いていた。それらは全てリプライだった。

「どういうことだ?」

 私は通知欄を下まで見ていると、リプライの一番最初にリツイートがされていた。

 どうやらこの大量のリプライはこの、サカユラというアカウントのリツイートによるものだった。私はサカユラのアカウントページを開いた。

「フォロワー8700人!それならここまで広がるのも妥当ですね」

 私はサカユラのツイートを見た。サカユラのツイートの内容はどれも同じような内容で、どれも特に何もない学校生活のことを書き殴っているだけだった。一体どうしてそんな方が私のツイートをリツイートしたのだろうか。

 しかし、おかげで結構な数の幸せというものが知れた。明日からこれをまとめて、新商品開発部の目に留まるようなアイデアを出すように尽力しよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る