世界を夢見る少女

 モモは生まれつき目が見えない。全く見えないわけじゃないけど、本当にモノの形とか、色とかもわからない。

 わたしが通っている盲学校にもちゃんと友達がいる。ひかりちゃんっていうんだ。モモよりは目は見えるみたいで、色もモモよりたくさん知ってる。でもね、モモはひかりちゃんの格好とかも可愛いって言ってる服とかもよくわからないんだ。それがモモはすごく悲しい。

「モモ、帰るよ」

「うん!先生さようなら」

 学校の行き帰りはママが車で送り迎えしてくれる。パパが1人で行くのは3年生になってからって言われてるから。それにモモもまだ白杖はくじょうの使い方とか、ジュパとの仲良し度もまだまだだもんね。

 家に着いた。モモの家の玄関はモモ用にスロープがついている。最近はっていうのが多くて、モモみたいに目が見えない人にはすごく助かってる。

「ジュパ!散歩いこ!」

 白杖を右手に持って声をかけると、盲導犬のジュパが駆け寄ってくる音がして、足元にモフモフ感がした後、ワン!ってジュパが鳴いた。

 

 モモは最近、家に帰ったらすぐにジュパと一緒に散歩をしてる。どうしてかっていうと、散歩をすることでモモが住む町のことをよく知るんだ。例えば、信号の場所とか、道のジョーキョーとか。あとは白杖の使い方を勉強するのと、ジュパともっと仲良くなるためなんだ。

「今日はポカポカするね〜。もう春なんだねジュパ」

「ワン!」

「エヘヘ、可愛いね」

 ジュパは本当に可愛い。でもどんな見た目なのかわからない。モモから見えるジュパは、えっと、コロッケと同じような色が動いてるだけに見えるの。どんなこなんだろうなジュパって。

武命たける!蕎麦でも食べにいこーぜ!」

「蕎麦か、まあいっか。行くか」

 あ、このお兄ちゃん達の声昨日も聴いた!ううん、最近毎日聴く。この道はお兄ちゃん達好きなのかな?おそば食べに行くんだぁ、楽しそう。2人は仲良いのかな。モモもおっきくなったらお兄ちゃん達みたいに友達と一緒に寄り道とかできるのかな。

「ジュパ、その時は一緒に連れてってあげるからね」

「ワオン」

「ジュパおもしろーい」

 ママとパパがモモに前言った言葉があるんだ。

『この世界はモモが思う以上に素敵で綺麗なんだよ』

『モモはパパやママと同じ物は今は見えないかもしれない。だけど、パパはモモにしか見えない世界が知りたいな』

 モモはママとパパがだーいすき。大好きなママとパパのためにモモはモモだけの世界を見つけるんだ!そして教えてあげるんだ。

「ジュパ!今日はどこに行こっか」

「ワン」

 ジュパが歩くスピードを早めたからモモもそれについていった。きっと今日も楽しいところに連れて行ってくれるんだ。楽しみ!

 

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