第17話 ダンフォースside
ジュディスが俺の家に住み始めてからは夢のような毎日だった。丁寧に食事を作ってくれて、掃除や片付けはいつも行き届いていた。俺が皿洗いやごみ捨てを済ませていると「ダンフォース!ありがとう!」とにっこり笑うジュディスがいるだけで、俺の心は日々癒されていった。
毎朝のように、ジュディスが抱きついてくるのが、俺は嬉しいのに、上手く返すことも、気の利いたことを言うことも出来なかった。
毎朝、笑顔で「いってきます!」というジュディスに「いってらっしゃい」とすら言えなかった。合図をした後でこっそり窓から見ているところも、可愛く思っているのに、上手に声を掛けられないから、気付かない振りをしていた。
俺はジュディスから幸せを貰ってばかりで、上手に返せないでいた。人を大事にする方法がよく分かっていなかった。だから、あの日、迎えに行くのが遅くなって、ジュディスに怖い思いをさせてしまった。悔やんでも悔やみきれない。初めて抱き締めるジュディスは小さくて、震えていた。今まで俺はジュディスに守ってもらってばかりだったけれど、この時から、俺がジュディスを守りたいと、強く思った。
その日から、ジュディスと一緒に眠るようになった。白状すると、俺はもうこの頃にはすっかり恋人気取りだったのだ。変に遠慮して、ベッドの端で眠ろうとするジュディスを「落ちるから」と無理矢理、理由をつけて抱き締めていた。俺の胸の中で「だいすき」と小さく呟くジュディスが、愛しくて愛しくて仕方なかった。抱き締めて、頭を撫でて、ベッドの中でゆっくりおしゃべりをして、こんなに甘い夜を過ごしているのに、ジュディスが俺を恋人とも思っていないなんて夢にも思わなかったんだ。
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