第5話
それからのダンフォースの変貌ぶりに、ジュディスは戸惑いを隠せなかった。
ダンフォースは何と毎日宿屋へジュディスの送り迎えをするようになった。あの悪質な酔っ払いに絡まれ被害届を出したことは、エドガーとサリーにも報告しており、二人は今後は必ず明るい内に帰す、と言ってくれたのだが、ダンフォースは明るい内でも迎えに来ている。
しかも送りまでは大丈夫だと、ジュディスが何度説得してもダンフォースは「朝だって薄暗い。山道を出てからも歩く人も少ないだろう。」と折れなかった。ダンフォースの変わりように、エドガーもサリーも「別人のようだ」と目を丸くしていた。
そして、今までは一切休みを取って無かった陶芸の仕事も、ジュディスの休みに合わせてダンフォースも休むようになった。ダンフォースが働き過ぎていることをずっと心配していたジュディスには嬉しい変化だった。休みの日は、朝はゆっくり起きて、一緒にご飯を作ったり、散歩したり、買い物に出かけたり、のんびりした時間を過ごしている。
そして、二人で眠ることもそのまま続いている。ダンフォースはやっぱり過保護で「落ちないように」と毎晩ジュディスをぎゅっと抱き締めて眠っている。ダンフォースと密着できるだけでなく、ゆっくりとお喋りできるこの時間がとてもかけがえの無いないものだとジュディスは感じていた。
(これは、もうダンフォースも私のことすきなんじゃない?)
ジュディスの期待は高まるが、臆病風に吹かれ、どうしても聞くことが出来なかった。
それに、以前のようにジュディスから抱きついて「だいすき!」と叫ぶことが出来なくなっていた。あの酔っ払いに絡まれた日から、ダンフォースがジュディスを以前よりずっと大事にしてくれているから、何だか前のように出来なくなってしまった。
夜にダンフォースのベッドの中で、ダンフォースの胸に顔を埋めて、小さく「だいすき」と呟くので精一杯になっていた。
(聞きたい、ダンフォースから。すきって言ってほしい。)
ジュディスは強く願っていた。
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