第4話



「お邪魔します…」


 恐る恐るダンフォースの毛布に入ると、ふわりとだいすきな香りに包まれた。


「ダンフォースの匂い!へへへ」


「…ジュディス、あんまり嗅がないで。」



 幸せそうにうっとりしているジュディスをダンフォースは複雑そうに見ている。ジュディスはダンフォースに気付かれないように、こっそり嗅ぐことにした。くんくん、とすると心も体もホッと落ち着くのを感じた。





「二人で寝たら、あったかいねぇ」


 一人用のベッドでは、二人で横になると狭く感じるが、ジュディスにとってはとても幸せな空間だった。


「…ジュディス。」


 ぐいっと体を引かれて、またダンフォースの胸の中に閉じ込められた。毛布の中で抱き締められると、より密着が感じられ、体中の熱が駆け巡る。




「ダンフォース?」


「端っこだと落ちるから、こっちに寄って。」


 まだ少し余裕はあるのにダンフォースはぎゅうっと抱き締めた。何だか今日はすごく過保護にされている気がする。身寄りのないジュディスにとっては、それがくすぐったくて、ふわふわした。




「ダンフォース、いっぱいありがとうね。」


 視線を上げて笑顔を見せると、ダンフォースも優しい目をして頷いた。


 しばらく他愛ない話を楽しんでいると先程の恐怖心はすっかり収まっていた。




「…眠れそう?」


「うーん、眠るのが何だか勿体無くて。」


 不思議そうな顔を向けるダンフォースに説明する。




「こうやって一緒に眠るのが嬉しくて。だけど寝たら朝が来ちゃって、一緒に眠るの終わりでしょう。それが寂しいの。」



「…いつでも来ていい。」


「え?」


 てっきり今夜限定だと思っていたのに、ダンフォースからのまさかの提案に思わず戸惑ってしまう。



「…そんなこと言ったら、毎日来ちゃうよ?」


 反応に怯えながらも確認すると、ダンフォースはいつも通り頷いている。



「本当にいいの?」


 ダンフォースが目を細めながら頷くのを見て、私は胸が熱くなるのを感じ、ダンフォースの胸に顔を埋めた。小さく呟いた「だいすき」に、ダンフォースはどんな顔をしていたんだろう。

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