第5話 チンパンブッパ
チンパンブッパ。
奇声を上げながら必殺の攻撃を放つ、男の願望を体現した崇高な行為である。
俺はチンパンブッパがしたい。
そのために、フネを作りあげた。
この宇宙戦艦ニハーヴァンドを。
「所属不明の艦が接近してきます!」
「コードレッド発令。第一種警戒態勢に移行」
シン帝国の九九式護衛艦蘭洋に、迫る影があった。
「宇宙海賊か…デカいな」
「迎撃しましょう」
「ああ。主砲照準!目標、不明艦!」
「射撃準備完了!」
「撃て!」
蘭洋の主砲が一斉に火を吹く。
だが、外れる。
「この距離では当たらんか…次弾装填!」
「当たらんさ、普通。この距離ではな。だが…」
ニハーヴァンドの船体が光り輝く。
「『ボーナスダイス』を使用」
ニハーヴァンドの射撃管制コンピュータが唸り声をあげる。
高熱を放ちながら、高精度演算を行っているのだ。
「行くぜ必殺!チンパンブッパァー!!」
ニハーヴァンドの主砲が、蘭洋を直撃する。
「この距離で当ててくるだと…奴はコマンダーかッ!」
蘭洋の弾薬庫が誘爆し、船体が粉々になる。
「さ、廃品回収といこうか」
ニハーヴァンドから作業ポッドが射出される。
「今年は申年…きっと来年も」
残骸を回収する作業ポッドを眺めながら、宇宙海賊アケイド・ヴァンナムは笑みを浮かべるのだった。
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