第27日 異世界VS日本食 補遺の6 恐るべき遭遇

『地球はプレイン・ヨーグルト』(梶尾真治 著)

『妖神グルメ』(菊池秀行 著)



〇『地球はプレイン・ヨーグルト』


 少しコアなところに棲んでいる人々にあえてこう問いたい。


「『カジシン』の最高傑作とはなにか?」


『黄泉がえり』?――否。『サラマンダー』?――否。『エマノン』?――否。


 やはりここは『ヨーグルト』だろう! あの、一切ウケとか狙わずに、ただひたすらに読者の魂に爪痕を残すためだに書かれたんじゃないかと思うくらいにブラックかつビターかつダークな後味!

(異論は認めます)


 要約も抜き書きもあえてしません。(短編だから)

 味覚による地球外知的生命体とのファーストコンタクトがテーマの一本。

『地球はプレイン・ヨーグルト』を検索で調べたりせず!予備知識なく!真っ白な気持ちで!読んでみてください!――きっと、夢に出てくるから!(巻き込むな)


〇『妖神グルメ』


『ヨーグルト』が宇宙人ならこちらはクトゥルフ神話。料理で、コミュニケーションというか、対話というか対決というか、何とも言い難い関係を、絶対に分かり合えない存在同志で構築する話。

 わたしの手元にあるのはソノラマ版なので「和製クトゥルー神話の金字塔」という後世の批評は確認しておりませんが、ソノラマでありながら「こんなジュブナイルがあってたまるか」という尖り具合。

 料理の本としてなら「イカモノ料理」(あるいは「イカモノぐい」)がテーマ。 食材としてありえないものを美食に変える天才料理人が主人公。この主人公だからこそ、あの衝撃のラストに辿り着く。

 まごうことなき「菊池秀行」初期の代表作。

 表紙がこれがまた怖くておどろおどろしくて、尚且つ、ちょっと美味しそうなのですが、描いているのはFF前の「天野喜孝」。

「現在のSFとかアニメの源流に遡っていった先に置いてある一冊」感があります。


 この二人が組んでクトゥルフとか、いい時代だなあ。




 

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