第24日 異世界VS日本食 補遺の3 再現困難?

 食事シーンや食べ物が「文章」で表現されている何かを読んで勉強すれば、納得のいく「ごはん。」が書けるのではなかろうか?


 そんなわけで、フィクション以外のジャンルの本もいくつかを読みましたが、参考になったかどうか、あるいは私自身の「ごはん描写力」が向上したかどうかはともかくとして、読書としては大変たのしい経験だったので、ご紹介したいと思います。



 ――そして越冬開始二か月ほどでラーメン玉はなくなった。

             『面白南極料理人 笑う食卓』


 計画を立てて献立を作るという事では、ここ以上に厳密な場所はないであろう組織『南極地域観測隊』。ふたを開けてみると意外にも豊富で楽しい食生活が展開されていたりします。無論、それは適正な計画と料理人の熱意があればこそ。事前準備で調達したもので、すべてを賄うのが前提。

 そんな南極の観測基地で、想定では一年もつはずだったのに、たった二か月で枯渇した「ラーメン玉」。倉庫を捜しても見つからず、ついに自作することになったがうまくいかない。なぜならラーメンのあの独特の風味を醸し出す「かん水」がなかったから。


 たとえば揖保乃糸で代用したとして、どれほど美味しくてもそれはラーメンスープで作ったにゅうめん。ラーメンではない。では「かん水」を持っていけば解決かといえば、いやまて、そもそも素直にラーメンを沢山持っていけばいいんだよ、という話です。

 だけど「欲しいのは今」 そして欲しければ知識と工夫で何とかするしかない。


 たぶん異世界でラーメンを再現する時も、最初の関門になるであろうこの困難に、作者は敢然と挑むことになります。――リアルの世界の『南極』で。


 この本を読んだ後、個人的な「南極ブーム」が来て南極へいった最初のラーメンの銘柄とか調べた記憶があります(笑)

 南極に関わるフィクションを、『南極物語』の次へアップデートしたという意味でも記念碑的作品です。

 

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