第11日 異世界にラーメンがあったなら。

 ――ラーメン。


 諸説ありますが、日本における「ラーメン」のはじまりは、1900年(明治33年)以降に一挙に中華料理店が増えた頃とされています。


 いうまでもなくラーメンは中華料理ですが、中国の人が自分の国発祥の料理とはとても認識できないくらいに発展というか進化というか、改造されてしまったという渡来起源系進化型日本食の代表です。

 語源は拉麺(ラーミェヌ)という中国では北部で作られる麵料理だとか。「拉麺」は「ひっぱる麺」という意味で、いっぱいある麺の形状の内の一つを示す言葉だったのですが、日本食における「ラーメン」が内包する意味はものすごく広いものになってしまいました。


 小説に登場させるなら、塩で醤油でとんこつに味噌などなど、スープの味の選択から、メンマ、煮卵、チャーシュー、ネギ等トッピングの描写。日常系の展開なら「スガキヤ」「天一」「次郎系」「家系」みたいな進化の方向性しだいで作品の背景、場合によっては食べてる主人公の性格まで表現できるという……無敵かラーメン。どんだけキャラが強いんだ。


 変わったところでは『南極料理人』の西村淳さんの本で、南極越冬隊のエピソードをつづったエッセイの中に「ラーメンが枯渇したので南極基地にあるもので自作した」というのがありました。

 もともと南極料理人という人たちは、お酢がない南極基地で「ちらしずし」をつくったりするような方々ばっかりなので、異世界ファンタジーで現代日本食を再現すると、むしろ参考になることしか存在しない世界だったりします。


 ラーメンは何故枯渇したのか、ラーメンが枯渇すると何が起こるのか、そして再びラーメンを手にするためにどんな困難があり、どうやって克服するのか。

 ラーメンのエピソードは映画『南極料理人』(主演/堺雅人)で映像化されたので(むしろ映画におけるクライマックス)興味がおあり方はぜひご覧ください。

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