第4話 僕の短期目標1 強くなること。

【僕の短期目標1 強くなること。】


 転生して状況を理解した僕。

 結構切羽詰まっている。


『ロベルト、エレーヌ。ちょっと聞いてくれ』


『『はい』』


『状況はわかってると思うけど、特に僕は強くならなければいけない。短期目標その1だ』


『ああ、坊ちゃま、私達が不甲斐ないせいで』


『いや、君たちを責めてるんじゃない。今の僕はあまりにも弱すぎる』


『坊っちゃん。祝福が“料理人”だってことで色々言われていますが、私は敵が攻め手を緩めるとは思えません。坊っちゃんの頭脳は健在です』


 強くなることは火急の案件だ。

 祝福が料理人。

 確かに王室にふさわしくないものだ。

 でも、敵が攻撃の手を緩めるとは限らない。


『敵の動きはまず“料理人”だということを世間に流布すると僕は思う』


『今は箝口令がしかれていますが、知られるのは時間の問題ですね』


『そして、15歳になったら王室を追い出されることも』


 それはむしろ望むところなんだけど。

 城なんて窮屈なところにいたくない。


『『はい』』


『そういう状況でも奴らは攻撃をしてくると。僕には王位継承する意思は全くない。そう彼らに言っても信用してくれないよね』


【ステータス】


 ここで僕のステータスを見てみる。


  氏 名 ジュノー・クノール

  年 齢  6 性 別 M  種 族 人族

  祝 福 料理人

  ステータス

  ○筋力  41

  ○体力  38

  ○速度  42

  ○知力 584

  ○精神 515

  ○意思 262

  スキル 料理、4属性魔法

  特 記 


 スターテスの数字の見方。

 成人は半数以上が120前後である。


 200 百人に一人

 300 千人に一人

 400 1万人に一人

 500 十万人に一人

 600 百万人に一人

 700 千万人に一人


 自分のことながら、知力・精神力は流石に神の子と

 噂されただけのことはある。

 例えば、僕の知力584。

 これはほぼ百万人の中のトップになりうるという意味だ。

 まだ6歳なのに、この年で王国トップクラスである。


 前世の僕だと、6歳の時何をやってたか。

 オネショしてたよな。

 いつも泣いてたような気もする。

 まあ、普通のガキだった。


 ところが、転生してみると前世の大人の自分よりも、

 ずっと賢くなっている。

 だって、普通に大人としっかりした会話をしている。

 そればかりか、難しい会話をリードしている。


 本を読んでも、すぐに内容が理解できるし、

 あっという間に記憶できる。

 映像記憶というやつだな。


 僕は2歳で2か国語を話し、4歳で城の蔵書をほぼ制覇し、

 5歳で古代語を学び始めた。

 風魔法も発現している。

 “神の子”と言われる由縁だ。


 当時はガードが甘く、

 自分の行動がそんなに敵を作るとは思わなかった。


 それはロベルトやエレーヌだって同じだったろう。

 僕は少し賢い子供。

 そんなふうに彼らは僕をとらえていたと思う。

 だから、なかなか状況を把握できなかったんだろう。



 敵は再び暗殺を試みるかもしれない。

 5男だといえ、僕にはまだ王位継承権がある。

 それに、僕には神の子と噂された頭脳がある。

 それを驚異とみなすだろう。


 僕はより力をつけていく必要がある。

 僕の、フィジカルは年相応だ。


 現状で僕の頼りになる味方は。

 ロベルトとエレーヌの二人。


 

 エレーヌは、母上の姪だ。

 もともとは、母上の実家である男爵家の

 見習いメイド兼護衛であった。


 母上が王室に輿入れ後、しばらくしてから

 母上の世話係になった。

 母上が亡くなると、そのまま僕のお付きになった。


 ロベルトは母上の遠い親戚筋だ。

 貴族の息子なのに冒険者になった変わり種である。

 

 10代でB級に至った期待の若手であったが、

 生来の美貌の持ち主で女難にあいやすく、

 冒険者を断念したという。

 本人は至って真面目だということだが、

 どんな女難を被ったのだろう。


 まだ数年の付き合いだが、彼らは信用できると思う。

 それに、今後さらに僕の信用を積み上げていくつもりだ。



 さて、どうやって力をつけていくか。


 城の中での修練には限界がある。

 僕に特別な力があることを敵に知らせたくない。

 それと、力をつけるには実戦がなによりだ。


 僕はエレーヌやロベルトを伴って、

 森に出かけることにした。



【森の拠点作り】


『お坊ちゃま、城から外に出るには許可が必要です』


『ああ、そうか。じゃあ、穴掘っちゃう?』


『地下道ですか?出口はすぐに発見されて大事になりますよ』


『地下道を森まで伸ばしたら?』


『えー、何kmあると思っているんですか』


『いいじゃん。コツコツやろうよ』


 僕は掘削・硬化土魔法で、地下通路の建設に取り掛かった。

 長期間の大工事である。


 最初は1m掘るのも大変だったのが、

 どんどん土魔法のレベルがあがり、

 最後には1時間で数十mは軽く掘れるようになった。


 土を固める硬化魔法の強度もどんどん強くなった。



 穴を掘り始めた時、

 城では若葉が芽吹いているような季節だった。


 しかし、穴を堀り終わって地上に出口をつけてみると、

 季節は初夏に変わっていた。

 穴から顔を出すと、濃厚な緑の匂いがする。


 解放された。

 そんな気分だった。



『お坊ちゃま、本当に掘っちゃうなんて』


『坊っちゃんの土魔法、強力ですね。私も土魔法発現してますが、なんの役にもたちません』


『コツコツやったからね』


『コツコツっていうレベルじゃないと思います』



 結局、二ヶ月とちょっとで、

 地下通路は5kmほどの距離になった。

 そこで掘削をやめ、そこに森の拠点を作った。


 森は、城の東側にある。

 非常に広大な森で、

 向こう側に抜けるのに数百kmはある。


 森の中心に向かうほど魔獣が獰猛になるとされる。

 森の周縁地だとそこまで強い魔獣はいない。


 この拠点の辺りで僕の修練を重ねる。

 エレーヌやロベルトも。


 ちなみに、エレーヌとロベルトのステータスは次の通り。


  氏 名 エレーヌ・アルトー

  年 齢 18 性 別 F  種 族 人族

  祝 福 聖魔法師

  ステータス

  ○筋力 122

  ○体力 128

  ○速度 112

  ○知力 170

  ○精神 185

  ○意思 153

  スキル 初級回復魔法、弓、水魔法、料理、計算

  特 記 


  ※フィジカルは女性としては中の上。

   知力・精神力は上の下。


  氏 名 ロベルト・オビーヌ

  年 齢 26 性 別 M  種 族 人族

  祝 福 魔剣士

  ステータス

  ○筋力 325

  ○体力 314

  ○速度 279

  ○知力 150

  ○精神 128

  ○意思 212

  スキル 魔法剣、弓、土魔法、探査

  特 記 


  ※典型的な脳筋タイプ。

   ただし、知力・精神力が劣っているわけではない。

   中の上程度の能力がある。


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