夢オチだけじゃ終わらない!
葛鷲つるぎ
第1話
じゅるり。
その音は本来、食欲を表す音だろう。
だがワタシは違う!
ここに! 本屋が! ある! しかもたくさん! なんて夢のよう! アヒャヒャヒャ!
おっと失礼。
いやぁ〜、夢の中でランプの精が何でも好きな願いを叶えてやると言ってきた時には半信半疑でしたが。駄目元で言ってみるものですね。ネバー・ギブアップ!
あ、涎が止まんねぇ。本屋に入る時には気をつけないと。
えー、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、……イーヒッヒッッ! 本屋がこんなにもたくさんあるぅうう!
ぬおっほん。……失敬。
紳士淑女たるものこのように取り乱しては、クラシカルな本屋に入れないというもの。……たとえ十八禁書店でもね!
まあ、間違って入っただけなんですけど……。十八禁書店はね。
しかしながら、本屋が選り取り見取りとは素晴らしい! しかも、さまざまなジャンルが網羅! されている! これは夢か!?
凄い! さすがランプの精!
はぁー。はしゃいでたら、お腹が空きました。ブックカフェまでありますよ。しかし、ここは敢えて! 食事処の喫茶店で、購入した文庫本を片手に一服! 至福のひとときではないでしょうか!
ランチタイムは混雑してますので、おやつ時にね。こーれが堪らないんですね。
あ、電子書籍の実店舗まである! 昨今は電子書籍のお手軽さが言われますから、タブレットを片手に読むのも乙というもの。
いやぁ〜〜、夢のようだわ。
夢だったらどうしよう。
…………え? 夢? マジで?
「いやほらこんなにリアルじゃんか!?」
ガバっと起き上がったワタシを出迎えたのは、閉店した書店から譲り受けたポスターだった。
「嘘じゃん」
とんだ悪夢だ。
外を見れば夕方。椅子の上で、寝落ちていたらしい。やるせなく口元を拭い、気分転換も兼ねて郵便ポストを覗きに行く。
「!」
チラシが入っていた。
なんと本屋が新しくオープンすると!
喜びの余り、膝から崩れ落ちる。
ヒャッッホォォーーーーイ!!!!
夢オチだけじゃ終わらない! 葛鷲つるぎ @aves_kudzu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます