第4話 帰省
自分が1番帰りたくないと思った場所はどこかと聞かれれば、真っ先に実家と答えるだろう。
昔から何かと親には縛られ、今でも結婚や子供について尋ねられる、地獄の様な場所だ。自分は恋愛感情を抱かないし、それもあってか結婚願望も全くない。それを親に話したこともない。
親にカミングアウトとか、そんなの考えられない。できるわけが無い。身内が1番無理。
「あ、おかえり。お父さん居るわよ。」
「へー。」
「そうそう、お父さんがね、いい人見つけてくれたんだって。見せてもらいなさいよ。」
出た、良い人。これくらいの歳になると多分色々な人たちが言われてそしてウンザリしているんじゃないかな。
もうここまで来てしまえば自分が恋愛感情を抱かないということを打ち明けた方が自分のためかもしれない。もしダメなら帰省しなければいい話。そうか。
「あのさ、自分さ、」
親の表情なんて今更見れないけど。それでも伝えたい。
自分はこういう人間なんだよ、と。
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