第3話 人身事故

「じゃあ、また来週。」


「うん。絶対来てね。」


「分かってるって。あ、電車もう来るから。」


    いつもみたいに、笑顔で手を振って彼と分かれた。私たちは遠距離恋愛中で、週に一回だけ会える。その日のために毎日仕事を頑張ってるの。


   数分後、スマホには彼と分かれたばかりの駅で人身事故が起きたらしいという情報が入った。。まさかそんな事は無いと思いたくて連絡を入れたんだけど、返事どころか既読もつかない。


    ものすごく不安で仕方なかったけど、今は返せる状況じゃないのかもしれないと思って、そのままスマホを閉じた。


    3日後、やっと彼から返信が来たと思ってトーク画面を開くと、彼とは思えない文章で、こう書かれていた。


"彼女さんですよね?お時間ありましたら息子のお葬式に参列していただけますか?"


フラフラでなんとかお葬式場に向かうと、お母さんが立って親戚らしい人たちに囲まれて泣いていた。


「あの、お母様、ですか?」


「はい。彼女さん、ですね?」


彼とどこか似た顔を見るだけで涙が溢れ出そうになるけどグッと堪えて向き合う。


「あの子の心の支えになってくれて、ありがとう。」


涙ながらにそう言われてしまえば、私の涙腺も崩壊。彼が後ろから抱きしめているようなそんな感覚になってより涙は止まらなかった。


後から聞いた話だけど、彼は線路に落ちたお婆さんを助けようとしたらしい。お婆さんは今は無事に生きていて、彼に感謝をしていると。

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