50-2神々の最終戦争②

ーーーー 四天王ギリ・ウーラ ーーーー


 魔王の系譜が破り捨てられるという事態にも関わらず、動じることのないジェイド様がと美紗。


 何か策がある、とは思っていたが……そうか。


「本物はコッチ。簡単に手放す訳無いでしょ?」


 ジェイド様は得意気に本物の魔王の系譜を見せ、すぐに懐に仕舞う。


「モミちゃんもネムネムもよくやったな。俺からご褒美だ。おーヨシヨシ」

「なおーんでおじゃる」

「ふんっ、みー様のナデナデ以外なんて……あ、これはこれでアリッピ」


 神2柱がミサの手に……まぁ堕ちていたからな。


「我らを裏切るのか!? ネムシス! モミザ!」


 ベガオが叫ぶ。

 ネムシスとモミザは愛玩動物から神の顔となった。


「最高神ともあろうお方が魔王程度との約束すら守れずナニ言ってるッピ!」

「正直失望したでおじゃる! みー様から貰った遊び道具の没収と言い、最高神のくせにやって良いことと悪いことの区別もつかないでおじゃるか!?」


 ベガオは、ぐぅと呻ることしかできていない。


「それにッピッ! もしこういう事態に陥るなら、みー様の陣営に着くことは、すでに高位神との間で話していたことだッピ!」

「頭に血が上る状況がいくつもあったことは理解するでおじゃる。ヘル、スピー、ノーザは、それを踏まえた上で、義理のためにこの召集にだけ乗ったでおじゃる! それを踏まえた上で、みー様と本当に戦うか考えるでおじゃる!」


 ベガオだけではなく、ガイですら、後ろを向く。


 高位神ヘル、スピー、ノーザの3柱は、動かず、頷きもせず、黙ってベガオとガイを見ていた。


 神でも意見の割れる事態か。


 しかしながら、敵陣営を動かずして制すとは、やはりジェイド様は恐ろしい。

 何手先まで読んでいる?

 いや、布石を打っている?


 空に浮かぶ下位神共は、混乱しているな。


「良かろう。ヘル・シリアス、スピー・カートール、ノーザ・サンクロース、以上高位神3柱は、魔王ジェイドを始末次第、【下位神】に格下げする。モミザ、ネムシスは言わんでも分かるな? 死すら温い。神の座剥奪の上で強制労働じゃ」


 ベガオの圧が凄まじい。

 だが、モミザもネムシスも怯まない。


「今も似たようなもんでおじゃる! こっちから願い下げでおじゃるよ!」

「ピッピ達のオモチャがぶっ壊れた後で苦労するが良いッピ! 絶対に直してやんねぇッピ!」


 ただ、それでもこちらに伝わるのは絶望。


 高位神2柱が寝返り、3柱が動かない。


 それでも最高神2柱には敵わないということか。


 そして、神々の視線が1つに向かう。


 高位神と同じ位置に立つ、チゥ・ファウスト。


 ノース・イート初代魔王にして、下位神の座まで上り詰めた者。


 未だに悩んでいる……ように見えるな。


ーーーー テンテン ーーーー


 私は救護室より見守っています。

 産まれたばかりの我が子、ププと共に。


 避難はしないのか?


 主要な者以外は避難しました。


 私達は、逃げません。


 逃げて、最高神に捕まってしまえば、ジェイド様の敗北が決まってしまうからです。


 だから、僕が守る、とジェイド様は言いました。


 チゥ様も、きっとそう言いたいのだと思います。


 でも、それが言えない程に、強大で圧倒的な神。


 それがベガオ・ラスプーリンであり、テイラ・ガイなのだと、その震える体が皆に伝えているようでした。


「チゥよ、お前もか」


 ガイの言葉にチゥ様はビクリと反応します。


「お前とは、地球のことで色々と世話になった。話もよくした。残念だ」


 そしてガイはチゥ様に背を向け、ジェイド様を睨みます。


「ジェイド・フューチャー! 私は、聞きたいことがある! なぜ、勝てぬと分かる最高神に手を出すか!? 未来とは違う! 完全に、対策を取られたジェイドなど、指先一つで消されても不思議ではないのだよ!?」


 チゥ様が、震える声で、ジェイド様に問いました。


「愚問だね。君が書いて僕に伝えたことだよ? 昔過ぎて忘れた? 『その圧倒的な力を以て、私の仲間達の子孫を護ってほしい。彼ら彼女らの日常と、その笑顔を。願わくは、素敵な『魔王』ライフを】ってね。だから僕は戦う。魔王として、みんなの笑顔を守るため、手段は選ばず、最高神共をぶっ殺す」


 ジェイド様がそう言った瞬間、ベガオとガイから見えない何かがジェイド様の眼前でいくつも弾ける。


 もう、戦いの火蓋は切って落とされた。

 ジェイド様が、神の攻撃を防いでいる。


「分かった……そうだね。私にも責任のあることだったね。逃げるのは、止めにしよう」


 チゥ様は、こちらに歩いてきました。


「それが答えだな? チゥ・ファウスト。残念だ。消えろ【吸星すいせいの魔邪】」


 ガイは寂そうな声でそう言うと、真っ黒な穴に、チゥ様を入れて消しました。


「大丈夫だよ、ちぅちゃん。僕の後ろにそのまま居てね」


 ですが、チゥ様はジェイド様の後ろにへたり込むように座っていました。


 呆気に取られた顔をしているのはチゥ様だけではありません。


 ガイ、そしてベガオも同じでした。


 そして、ジェイド様は叫びます。


「さぁ、最高神共、全力で掛かってこい! 僕と美紗で圧倒的に、完膚無きまでに叩き潰してやるからさぁ! クヒヒヒヒ!」


 神ですら敵わない『超』魔王の全力が始まった。


ーーーー Norinαらくがき ーーーー

最高神VSジェイド&美紗 開始!

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