35-1封印されし勇者『○□◇♡』

ーーーー 夕暮 美紗 ーーーー


 降り立った男は、歪だった。


 人間の体をしてんだが、右と左と真ん中で、顔も皮膚の色も違う。

 体を縦に3分割。俺から見て、左が小麦色、真ん中が白色、右が茶色……カレーみたいな色だな。

 そんでもって、目のところで、紙をビリビリに千切って繋げたような男。

 

 何より鳩尾にある剥き出しの心臓が拍動して、そこから広がる血管が別れた体を繋ぎ止めているみたいだった。


「Recreate Skill...」


 スキル再構成?


「みーくん!? やべぇぞ!」


「まっかせてぇ! 『マスドライバー』起動! からの、ドーン!」


 え? マスドライバー? 宇宙に物資を打ち上げるやつ?

 でもなんで、ドーンって食堂の壁に大穴開けた?


「まさか、みーくん!?」


「そのまさかだよ! ぶっ飛ばす! ついでにステータス・フルオープン!」


 マスドライバーが起動する寸前、少しだけ謎の男のステータスが見えた。


ああああ Lv1000×3

力:1000000(×3)  魔力:1000000(×3)

『封』『勇者X3』『アンドリュー・パンマーチ(右)』『ジョー・クッパアマン(央)』『カリー・パンクエアー(左)』『メロー・アンナ姫の心(繋)』『暴走覚醒』『攻撃の無力化』『全魔法・状態異常無効化』『魔王の系譜ブレイカー』『コノ命尽キルマデ』『闘ウコトヲヤメナイ』『ス●ー■ス・フ▲◎ー✖ン』


 ちょ!? おまっ!?

 なんだコイツ!?


 色々やべぇけど、名前が一番やべぇ!

 やべぇ以外の言葉が出てこねぇし鳥肌が半端ねぇ!


 マスドライバーは無事にこのヤベェヤツを先端で拘束して起動し、星ノ眼モニターで確認しつつ、見事サウス・マータのゲート向こうに着弾した。


「もういっちょ! ポチッとな」


 あ、2段式かよ。


 ジェットエンジン吹かせてサウス・マータの……どこまで行くんだ?


「目標地点は最果ての地! スタージェイラー起動せよ! 大穴掘ってあげるから、しばらくそこで大人しくしててね!」


 見事着弾。さすがみーくん。完璧だな。


 でも、みーくんの顔が浮かない。


「スタージェイラーで動きは止まってるけど、ダメージが通ってない。改造して最大出力増やしたのに」


「マジカヨ。あの極太極光レーザーでかよ」


 みーくんは、改めて『狂』の魔王に掴み掛かる。


「ねぇ、知ってること、全部教えて?」

「分かったぴょん! 知ってること、ちゃんと話すぴょん! でもぴょん! タナシン様が独断でやってること多くてそんなには知らないぴょん! 知ってることは1つだけぴょんよ!?」


「良いから、は・や・く」


 みーくん怖ぇよ。

 ムーちゃんも頬染めんな。

 心配しなくても、全部終わったらコッチ側に招待してやるから。


「あれは、イースト・キーンの勇者ぴょん」


 ……だろうな。


「タナシン様が『遺伝子操作』で、3人をくっつけたぴょん。ただくっつけただけじゃ安定しないぴょん。だから、姫の心臓を使って繋ぎ合わせたぴょん」


 ……見りゃ分かるな。


「それだけ……ぴょわっ、ぴょ……苦し……」


「みーくん、首締まってんぞ!」


「あ……あと、そうぴょん……拒絶反応が、どうとか……ぴょん。ゲホッゲホッ」


 みーくんは、黙ってムーちゃんを治療する。


「ごめん。力が入っちゃった。でも、よく思い出してくれた。その情報だけで、ノース・イートの陣営に入れるだけの価値がある。しっかり働いてもらうよ。ご褒美が何が良いかは、今度教えてね?」


 顎をクイッと上げながら謝罪&甘いボイス。

 ドMバニーちゃんだから、オちたろ?

 みーくん、分かっててやったな? 基本的に身内には嫌がることしないからな、みーくんは。

 相変わらず相手の性癖見抜くの上手なこって。


 まぁ良い。俺も堪能させてもらうからな。


「で、みーくん。何が分かったって?」


「これから説明する。その前に、フーリム、資料を全員に!」


「はいはーい。ほら、ジャックも手伝いなさい」


 フーリムとジャックがミシェリーから資料の束を受け取って配布してやがる。


 まさかみーくんの心を読んで書き出してもう刷った?


 有能過ぎるだろ。


「資料の1ページ目はさっきステータス・フルオープンで読み取った勇者の情報。以下『ああああ』と呼称する。見ての通り『ああああ』に一切の攻撃は効かない。物理的な足止めが精一杯だろう。しかし、それだけで十分と判断する」


 え? どゆこと?


「勇者『ああああ』は、すでに自壊を始めている。拒絶反応という言葉でティンと来た。実際『星ノ眼』でスタージェイラーによる足止めの様子を見て確認したので、これは間違いない。自壊しないなら、最初からノース・イートに投入すれば良かったけど、それをしなかったことからもこの仮説は正しいと判断する。おおよその自壊完了時間も算出した。約100時間。4日と4時間、耐え切れば僕らの勝ちだ!」


 100時間耐久タワーディフェンスかよ。


「半日程度はスタージェイラーで足止め可能と思われるので、速やかに作戦会議を行う! まず、『ああああ』の目的は『魔王の系譜』を破壊することと思われる」


 称号スキルに書いてあるからな。

 

「持って逃げれば良いかと思ったけど、過去の僕が託した情報が2点あった。この状況になってやっと意味が分かった点なので勘弁してください!」


 急に語気を弱めるみーくん。

 もっと強気で良いのに。

 みーくんらしくねぇぞ?


「1点。魔王城で守り抜け。何のことかと思ったら魔王の系譜のことのようです! ブループリントも拠点防衛の物が多いです。よって持ち出しはしません! で……」


 急に挙動不審になるみーくん。

 チラッとギリ見てんな?


「もう1点、これが1番意味分からないんだけど、ギリには何も命令するなって」


「どういうことだ……」

「さぁ……ごめんね、ギリ」


 さっきの今だから何か気不味いのか?


 みーくん、魔王なんだからどっしり構えてろって。


 そんなみーくんが可愛いんだけどな。


「どちらにせよ、オメガノを倒す際に使用した魔法の影響で、魔力が空です。飛行魔法を使用する魔力が貯まるのですら、数時間から数日掛かるでしょう。命令されたとしても遂行できません」


 そりゃそうだ。


「大人しく厨房で、皆が勝利した時の祝料理を作っておきます」

「うん、お願いね。でも危なくなったらちゃんと避難するように」

「心得ました」


 ギリも大人の対応だな。


 じゃあ、作戦会議、詰めていくか!


ーーーー Norinαらくがき ーーーー

ジェ:Norin……ホント大丈夫? ネタ的に。

Norin:大事おおごとにならなければ……

    有名にならなければ……

ジェ:この小説で売れたいんじゃないの?(笑)

Norin:こんだけオマをぶっこんで売れるとでも?

ジェ:さすがに無理か、色々と(苦笑)


勇者ああああ、などなどの由来


名前を入力してください『ああああ』

ド○ク○より。


そして、

○者のくせに〇〇いきだ、より。

オマージュされる側に立とうとは思ってなかったでしょうね!


イースト・キーン勇者

アンドリュー・パンマーチ:察して

ジョー・クッパアマン:濁点取らないで

カリー・パンクエアー:察して

勇者じゃないけど

メロー・アンナ姫:メロメロにしないで


やりたいこと、やったもん勝ち!


100時間耐久ディフェンス編(ラスボス戦)

スタートォ!

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