32-0 魔王様、消す

 戦場となっているはずの謁見の間が静まり返る。


 そこに響くは、僕の拍手。


 唖然とするハーゲの横で食べるご飯は、さぞ美味しいだろうね。

 おかず無しで三杯はイケる。


「不覚にも感動しちゃった。涙がちょちょ切れそうな程に」


 ちょちょ切れそうなんて今日び言わないかな?


 でも、ワナワナと震えるハーゲには抜群に効いてるね。


 事実、大金星。

 対策は練ってあったけど、善戦止まりで、サウス・マータの被害をそれなりに覚悟していた。

 それが勝利で人的被害無し。ギリも生きている。


 これ以上無い成果だ。


 危うく、危機的状況に陥ったサウス・マータに止む無く戦術核を落とすところだったよ。


 でも、こうなったからこそ言えることなんだけど、当然の帰結なんだよね。


「ハーゲ、お前の敗因は、情報を共有しなかったことだよ」


 戦いを見て分かったこと。

 魔王アムは、避雷針諸々の対策を知らされていなかった。


「そんなもの、無くても魔王だし、何とかなる。これは慢心だよ?」


 こっちの対策が刺さった。

 だから勝てた。

 なぜか対策を実行しなかったネイ+2人の勇者(笑)は正直知らない。と、言いたいところだけど、おかげでアムが油断したかな。


 結果論だけど、ギリのおかげで、完全勝利が見えてきた。


「慢心して何が悪い!? 慢心せずして何が魔王だ! 所詮、アム・ノイジアも魔王の器じゃ無かったってこと。やはり、真の魔王は僕しかいないね!」


 あ、出たな慢心魔王。

 僕も余計なフラグは立てないようにしないとね。


「それは格下に向けて言うセリフだよ? 同格に言ってどうするの」


 まぁ、僕は魔王の中でも最弱。

 言われてもしょうがないか。


 でも、慌てふためく僕の偽物を眺めるのは楽しいね。

 頭がぶらんぶらんしてるのはカッコつかないけどさ。


「ねぇ、これから僕とやり合うんだからさ。せめて頭はくっつけて欲しいんだけど」


「は?」


 ハーゲだけじゃない。


 味方陣営どころか、今まで黙っていた歴代魔王達からも聞こえてきた言葉だ。


「くっつけられるなら苦労は……できるの?」


 ハーゲの問いに、僕はニッコリと頷く。


「待てやジェイド! んなことしたらどっちがジェイドか分かんねぇだろうがよ!」


 ん? ちょっとジャックさん?


「ジャックの言う通りよ! それにミサの時もそうだけど、なんで敵にお塩送っちゃうの!?」


 んん? フーリムさん?


「ふふ、そう言えば、魔王ジェイドはそう言う魔王だったねぇ? じゃあお願いしようかな。代わりに、できるだけ逃げずに、ちゃんと闘ってやると約束するよ」


 ハーゲは急にご機嫌な感じになって、両手を広げて僕を迎え入れてくれる。


 よしよし。

 じゃあ、このコネコネした粘土をハーゲの首断面にたぁあっぷり付けてっと。


「この粘土みたいな接着剤は食べないでよ。甘くて美味しいけど、毒だから」

「誰が食べるか」


 僕のやり取りを聞いた美紗はドン引きして物陰に隠れちゃったよ。

 アイまで連れちゃって……。


「はい。おっしまい。呪い相手だから完璧とはいかないけど、まぁまぁでしょ?」


「まぁまぁだね。両手が使える分、さっきよりマシかな。じゃあジェイド、お望み通り始めよっか?」


「魔王対魔王の戦いをね。で、この周囲に飛び回っている大量の黒い蝶々は何なのかな?」


 僕は片手大の黒い蝶を人差し指に乗せて問う。

 ハーゲは、いつの間にか距離を取って立っていた。


「クククッ、それはね。『ニニン蛾』って言って蝶じゃないんだよ。僕が条件を設定するんだけど、最終的には呪い殺す『称号スキル』さ。という訳だ。死ね、ジェイド」


 僕は大量の『ニニン蛾』に襲われる。

 死の呪い付与、つまり死の宣告的なヤツかな?


 僕はリアクティブアーマーを起動させる。

 僕の周囲を爆破して吹き飛ばす。

 それでもまだ向かってくる。

 何匹出せるの?


「おおよそ1万六千匹だよ? それまで魔力が保つかな?」


 多いな。

 保つか保たないかで言えば保つんだけど、そんな無駄なことはしたくない。


 だから、全部受け止める。


「爆発、しない? ハーッハッハー! なんだぃ? 諦めるのかぃ? この程度で、よく魔王が名乗れるな!」


「いや効かないから。そもそも。だって『状態異常無効化』持ちだよ? 僕に呪いなんてそもそも効かないの」


 僕は黒い蛾を引き連れながら、ハーゲに近付く。

 近付く分だけ離れるの止めてくれない?


「ジェイドのステータスに、そんなモノはなかったはずだ!」

「いや、魔王なら知ってるよね? 唯一無二らしい魔王専属スキルがあって、それを選択できること。それがステータスに表示されないってことも。『魔王の系譜』が言ってたでしょ?」


 だから、僕は警戒していた。

 ハーゲの魔王専属スキルのことを。

 でも、これは予想外だよ?


「そ、そんなもの、知らない!」

「は?」


 僕は本気で言っていた。

 フーリムを見る。ジャックも見る。


 二人とも頷いた。

 つまり、ハーゲの言葉に嘘はない。


 昔過ぎて忘れた?

 そもそも魔王覚醒って死んだ直後な上に混乱の最中だからね。

 覚えてなくても有り得なくは無い……のか?


 まぁ良いや。

 分かった。

 ハーゲに魔王専属スキルが無い、もしくは覚えてなくて使えないってことが分かった。


 じゃあ、良いか。


「死ね、ハーゲ。ポチッとな」


 僕はスイッチを取り出し、ポチッと押した。


 爆発と共に、ハーゲの首だけが真上に吹き飛ぶ。


「んなーっ!?」


 穴の空いた天井から、ハーゲの情けない驚く声が降ってくる。


「誰がそう言う魔王だって? 僕は敵に対して、いつだって容赦しない魔王だよ。どう? C4爆弾の味は? 美味しいかな? 美味しいよね? 美味しくない訳が無いよね? え? 美味しくない? しょうがないなぁ」


 僕は置き去りにされたハーゲのボディの前に立つ。

 指向性の爆弾をハーゲの体に向ける。


「産地直送爆弾の、オカワリどーぞ!」


 爆発は、魔王城の壁をぶち抜いて、ハーゲの体をアイシテルミッツの丘まで吹き飛ばす。

 ちゃんと計算が合っているなら、サウス・マータのゲートにホールインワンのはず。

 次のホールでウェスト・ハーラにホールインワンしてあげよう。


「きっさまぁ! ジェイド・フューチャー、謀ったなぁ!?」


 寝言が上から近付いてきた。


「謀った? どこが? ただの作戦じゃん」


 僕は機械の手甲を右手にはめて構える。


 僕の攻撃力不足を補うための近接新兵器。『Diving Bomber』だね。

 これを披露するのも初めてかな?


 カートリッジをリロードし、薬莢が肘から2つ排出される。

 落ちて来る頭に狙いを定め……。


「おいまてうわなにをするやめ――」

「歴代魔王に告ぐ! 約束は、守ったぞぉおおっりゃあああ!」


 手甲の肘が爆発し、その勢いを以てハーゲの頭に、顎からアッパーを食らわせた。


 ハーゲの首を大気圏まで吹き飛ばすつもりだったんだけど、狙いがズレた。

 ピンボールのように、謁見の間中を跳ね返る。


 そして、僕の足下に転がってきた。

 もはや別人の顔をしてるね。


 僕がボコボコにされたらこんな顔になるのかな?

 いや、半分溶けてるからこんな風にはならないね。


 ――元はスライムか。

 スライムの魔王。ハーゲ・マルドューン。


 これで、最後だ。


「カートリッジ、最大リロード!」


 肘から薬莢が5発分、排出される。


「もぉ……ヤメ……」

「沈め」


 杭を打つように、ハーゲの顔を下に向かって思い切り殴りつける。


 謁見の間の床が抜け、一発殴る度に階下へ。


「おぉ、1番下まで来たのに生きてるの。すごいじゃん」


 一階まで来て、ハーゲの顔はベコベコに凹んでいた。

 誰がどう見ても人間の体じゃないことは分かるね。


「さーて、トドメの一撃を……あれ?」


 カシャコンカシャコンと音がする。

 弾切れだね。


 そこに、影が走った。


「誰!?」


 僕が振り向くも、誰もいない。

 ハッと顔を戻すと、ハーゲも消えていた。


 ここに来て逃がすのかー。

 詰めが甘かった。


 でも、首だけでどうやって逃げた?


「みーくん! 上で2代目がモニターで追ってるってよ!」


 美紗の声のする方へ向かう。

 謁見の間に戻っただけだけどね。


「追っているので、私を殴るのはヤメていただきたいのだが」


 ブレッドの声が震えていた。


 え? 冗談だよ?

 僕が殴らせろって言ったのはね。


 僕はニッコリして頷いた。


 早速モニターに映し出されるハーゲの頭。


 見覚えのない悪魔が高速で森を駆けていた。


「第5代魔王、マッハ・ゴースリー様でございます……」


 僕や美紗が首を傾げていると、ドランが教えてくれた。


 ドランだけじゃない。ウーサー、ルナ、フラン、ラナ、ヒデオまでいる。

 その他のゴツい魔王方も勢揃いだね。


 みんな揃って結末を観に来たようだ。


「なるほど。初代は元々いないとして、ここにいないのは第5代だけ。温存していたな?」


 最後に面白いことしてくれるじゃん?


「みーくん、舌舐めずりは止めとけって。歴代魔王もドン引きしてるぞ?」


 おっと僕としたことが、はしたない。

 ほっぺをムニムニしていつもの顔を作る。


「ヨシッ、じゃあ美紗。ゴメンだけど、最後の一撃をお願いしたいので、現場までご同行ください」

「内容による。腹の子が一番だからな」

「デコピンだけで良いから」

「それくらいなら良いだろう。ってか最後の一撃がデコピンって切なくね?」

「むしろそれが?」

「良い感じぃ! イェーイ!」

「イェーイ!」


 僕は美紗とハイタッチ。


 ごめんね。このノリは僕と美紗しか分からないよね。


 でも大丈夫。

 ちゃんと仕事はするから。

 

 何だか冷たい風の吹く謁見の間から、僕は美紗をお姫様抱っこして飛ぶ。


「『星ノ眼』を1つ置いておく。ブレッド君、ちゃんと僕も追尾するんだよ?」


「サー、イェッサー」


 うん、良い敬礼だ。

 敬礼の文化があることに驚きだけどね。


 僕はいつもの、大陸間弾道ミサイルの如く、大気圏から一気にアイシテルミッツの丘へ行く。


「何回飛んでも楽しーな、コレ」


 美紗の笑顔がカワイイ。

 でもダメだ。


 美紗を堪能するのは全部が終わってからだ。


 大気圏を再突入して、地上が見えてきた。


 ブレッドのハーゲを追うモニターからして、サウス・マータにはもう逃げられたようだ。


 でも、ハーゲは首から下の胴体を回収しており、速度がだいぶ落ちている。


 おかげでちょっと急いで飛ぶだけで、すぐに見つけた。


 ギリと魔王アムが戦闘していた荒野に向けて、要塞の裏にある森を爆進中だ。


 隠れようともしない。ただ真っ直ぐ、サウス・マータからウェスト・ハーラに繋がるゲートに向けて走っていた。


「美紗、距離は? もう射程圏内?」


「バッチリだ。こんだけ見えてりゃ外さねぇ。だけどな、みーくん。ヤツの核が心臓の位置にないと発動しねぇんだが」


 美紗の疑問はもっともだ。


「大丈夫。その時はすぐに来るから、構えててね。『【星ノ看守】スタージェイラー』起動!」


 僕はスタージェイラーを起動させる。


 天から降り注ぐ光の筋は、ハーゲを抱えて走る第5代魔王、マッハ・ゴースリーの右腕に直撃し、切り飛ばす。


『現魔王ジェイドよ。魔王マッハの意志は我らと同じ。西の魔王に利用されたままでいるよりは、ジェイドに手向けられた方が良いと思うておるわ』


 おばあちゃんの声がすると思ったら、熟女ミシェリーとも言える魔王デス・ホムラだった。

 ミシェリーそっくりだね。


 ごめんね、普通に魔王マッハ殺る気満々だったの。

 ちょっと外しただけなの。

 

 隣の美紗は、そんな僕を見て、プークスクスと笑いを堪えていた。


 僕は口元だけニッコリとした。


 こう見えて、ブチ切れてまーす。


「スタージェイラー、副号機も投入するよ!」


 本体とは別に、小型で小回りの利くサブ機4つを投入する。


 4機は魔王マッハに張り付いて至近距離から光学レーザーを照射する。


「うっそーん……」


 僕の期待を余所に、魔王マッハは体を捻りながら跳躍して避ける。

 それでも避け切れないだろうレーザー照射に、なんとハーゲは僕の肉体を捨て……というか変身を解いてスライムに戻って避けた。頭だけは僕のまま……体だけスライム……。


「あのヘッド、俺が貰っても良いよな?」


 美紗に対してはノーコメントを貫く。

 ダメだと言ってもゴネるし、条件付きで良いと言っても絶対に達成する。

 それが美紗。

 だから無視。

 というか、それどころじゃない。


 その間にも、回転レーザー照射、死角から照射、波状照射、あの手この手で攻撃しているけれど、全く当たらない。


 まぁ、代わりに足止めは出来てるんだけど、それも完璧じゃない。

 ちょっとずつだけど、確実にウェスト・ハーラのゲートまで近付いてる。

 その証拠に、今、森から荒野に出た。


「やっば!」


 僕は思わず大きな声で叫ぶ。


 いきなり荒野に出たから、スタージェイラー副号機の統制が乱れた。


 そんな隙をハーゲはもちろん逃さない。


 瞬時にトップスピードへと加速し、石化する魔王アムを無視して、ウェスト・ハーラのゲートに飛び込もうとする。


「なーんちゃって。えいっ」


 僕は、ウェスト・ハーラのゲート前に待機させていたのスタージェイラー副号機を起動する。


 網目状に照射されたレーザーは、ゲートに飛び込もうとした魔王マッハを細切れにし、続く魔王ハーゲも細切れに……しようとしたら、僅かに開いていた網目の隙間からハーゲの核だけが抜け出そうとしていた。


 心臓の位置で。


「さすがみーくん。良い誘導だったぜ。『ハートのエース』起動!」


 美紗の核を射貫く防御貫通のデコピンは、ハーゲの核を、確実に粉砕した。


 そして、ハーゲは、慣性の法則に従ってゲートを潜り、その場で溶けるように消えた。


 僕と美紗は荒野に立つ。


「みーくん」


 僕は声を掛けてきた美紗とハイタッチ。


 星ノ眼でノース・イートの魔王城を見てみれば、みんなが歓喜に踊っていた。


 僕は、視線を落とし、手を握って、開く。


 うーん、ギリの回復でもしようかな?


「んん? おおおおお?」


 しかし、突如地響きを感じた。

 直下型地震かな?

 僕の声が震える程の地震なんてよっぽどだよ?


 僕は浮遊して美紗を拾い上げる。


「なんだぁ? いきなり地震とか、良い予感しねぇんだけど」


 その割には笑顔だよね。


『グガッ……ガガガガ! 魔王、ジェイド……キサマダケハ、ゼッタイ、殺すススススス!』


 たった今仕留めたはずのハーゲの声がする。


 なんか空から聞こえるんだけど?

 世界中に響かせているような声だ。


 その時、空でガラスの砕ける音がした。


 そこには、月なんて比じゃない大きな星が在った。


 昼間にも関わらず、天の三分の一を覆う星。


 その星に、亀裂が走り、目と口が出来た。


 その口が、ゆっくりと動く。


『コレが、我ガ最終ワザ、『娯苦落星土ごくらくじょうど』起動。ウェスト・ハーラ、全部! サウス・マータ、ノース・イート! 道連レダァァァアアア!』


 ほうほう、星と一体化して、道連と?


 この地震、重力で引っ張られてるってこと?


 ふーん、へー、ほーん。


「おいおい、やべーぞみー……くん?」


「ねぇねぇ、そっちに、ウェスト・ハーラの中身分かる人いる? まだウェスト・ハーラに生存者っているのかな?」


 僕は星ノ眼に問い掛ける。


『ゲンタとオリシンからじゃ。もう生き残りはウェスト・ハーラにはおらぬと……』


 サランから返事。

 全滅か。気の毒だけど。

 悼むのは全てが終わってからだ。


「え? みーくん、どーすんの?」


「生き残りがいないなら、ヤるだけだよ」


 居てもヤルしか無いんたけどね。


「え?」


 え? って、何さ美紗?


 あ、僕がこの事態を想定していないとでも?


「フフフ、こんな事もあろうかと! 衛星軌道に乗せてる核魔法にバンカーバスターを付けておりました」


「ち、地中貫通弾? いや、一発じゃ足らんだろ」


 驚くも、すぐに冷静になる美紗。言うことはご尤も。


「そんなこともあろうかと! 今、15発あるよ」

「うぇ!? いつの間に!?」


 美紗が混乱している。

 珍しいこともあるもんだね。


 美紗と話している間に早速一発がウェスト・ハーラに着弾する。


 ……火花かな?


 一瞬だけ光って細い煙がモクモクと。

 鼻毛みたいな煙が見える。


 そこから次々にウェスト・ハーラに小さな火花が散る。


 15発が着弾し終わり、ハーゲの高笑いが世界に響いた。


『ファーッハッハ! 魔王ジェイド! コレで万策尽きたダロウ!? もう少しでそちらの領域に辿り着く! そうなれば、重力でめちゃくちゃにぃ、してやるぅううう!!』


 領域別なんだね。

 だからこれだけ近いのに重力の影響がこんなもんなのか。


 にしても流暢に喋るねー。

 口の動きに対して声が遅れて聞こえてくるから、ちょっと面白いんだけど。


「そんな楽しい時間も、もう終わりだ」


 僕は手を握って、もう一度開く。


 実を言うとね、魔王ニトレートから譲渡してもらった魔力が、有り余っちゃって暴発しそうなの。


「み、みーくん?」


 美紗は、僕の手と顔を交互に見る。


「美紗、僕の傍に」


 美紗は頷き、僕に寄り添う。


「ハーゲ、僕の方が少し早かった。さよなら。『Jade Eyes Dark World』起動」


 僕は、地中貫通弾で掘り進めた先に、星ノ眼を設置していた。

 これでノータイムで行える。


 錬金術で球体を作る。

 魔力、すなわちエネルギーを大量に込めた球体を。

 米粒みたいな球体に。

 送る。

 僕の、全ての魔力を。


 エネルギーは、質量に比例する。

 逆に言えば、質量はエネルギーに比例する。


 よって、魔力エネルギーを与えられた球体は重くなる。


「さぁ、問題です。僕がウェスト・ハーラに設置した球体が、重たくなったらどうなるでしょう?」


 美紗の顔が引き攣った。


「みーくん、それブラックホール……」


イグザクトリー正解


 そして、ウェスト・ハーラは、音も立てず飲み込まれた。


 ハーゲの叫び声も聞こえない程にね。


 砕けた星と、磁場が掻き乱された影響で、空にはまるで翡翠ヒスイの目を模したオーロラが出来上がっていた。


 しかし、サウス・マータでも先程とは比にならない地響きが起こる。


「いやみーくん!? サウス・マータにも影響出てんぞ!?」


「大丈夫。人工ブラックホールなんて、どれだけ膨大な魔力があっても、維持するのは無理」


 だから、魔力切れたらおーわーり。


 すぐに、世界は静寂に包まれた。


 獄の魔王、ハーゲ・マルドゥーン、ウェスト・ハーラの星と共に消滅。


 ゲートも消えているし、これで終わりっと。


 ギリを起こして、ノース・イートに帰ろう。





ーーーー Norinαらくがき ーーーー

ジャ:待てやジェイド!

   んなことしたらどっちがジェイドか

   分かんねぇだろうがよ!(棒読み)


フーリム:ジャックの言う通りよ!

   それにミサの時もそうだけど

   なんで敵にお塩送っちゃうの!?(大根役者)


二人共、知ってて頑張って叫んでくれました。


美紗はドン引きしたように見せて、避難しました。


ミサ:アイ、やべー、隠れろ

アイ:んぇ? アレなんだ?

ミサ:C4っつー爆弾な

アイ:うへぇー( ゚д゚ )


あと、カートリッジ式手甲はリリカ○なの○より(SLBもっすね)

スタージェイラー副号機はファン○○。

核を星にはハゲ○……違った……ア○マゲ○ン。

人工ブラックホールだけがオリジナルですハイ。


オリジナル少なくてごめんね!


ついでにハーゲのステータス公開。


ハーゲ・マルドゥーン Lv1000

『獄』『魔王』『非武装・非攻撃時覚醒』『破ー梟』『真=亜』『十≡加』『ニニン蛾(呪)』『娯供楽星土』

力:10000(+1000000) 魔力:10000(+1000000)


破ー梟はいちオウル:不死者にして操る。フルスペック自動制御は2体まで。額にはGマーク。偵察にも使える。

真=亜マニア:成り切る。スキルも。?は無理。

十≡加トミカ:自動制御は待機含め15体まで。

ニニン蛾(呪):呪いの蛾、死の宣告。他にも呪いカスタム可能。

娯供楽星土ごくらくじょうど:自らを捧げて魂の抜けたモノに乗り移る。効果、100倍。


これで一、二、三、四、五!


ハーゲ、普通に強いっす。

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