28-0魔王様、暇を持て余す
僕の想定通り、ウェスト・ハーラから期日と同時に宣戦布告を受けた。
イースト・キーンからは宣戦を受けずにだ。
その証拠に、アナウンスは無かった。
サウス・マータからのアナウンスは、町内会のお知らせなんかでよく聞く『ピンポンパンポーン』というチャイムが鳴った。
今回、それが2度なった。
2回目の宣戦布告だからって2回も鳴らさなくて良いとは思ったけどね。
それも被せ気味で。
宣戦布告から1日が経過する直前、異界ゲートをサウス・マータの要塞近くに設置した。
そこまでは良かった。
それから1週間。
何もない。
何もないというのは、本当に何もないの。
誰かが攻めてくることも無ければ、魔王アムや西の魔王すら姿を見せない。
「暇だなー。なんにも無いなー」
「いや、みーくん指は疲れるだろ?」
「え? これくらい大したことじゃないよ?」
僕はコントローラーを握って、タイミング良くポチポチしているだけの1週間を送っていた。
「ミーシャ、あたいもツッコんで良いんだよな? 異界ゲートからめっちゃ出てきてるフクロウみたいなの全部撃ち落としといて何にも無いはひでぇんじゃないか?」
僕にとっては何もないに等しいんだけど。
まぁ、アイの言う通り、異界ゲートから出てくる梟みたいなナニカは『スタージェイラー』を操作する僕が全部撃ち落としている。
だってー、偵察用の機械で作り上げた星ノ眼、ウェスト・ハーラに送り込んだ瞬間全部壊されたんだもん。
だから、こうして、ポチポチしながら星ノ眼を大量生産してる最中なんだよ?
「多分、向こうも同じ考えか……もう侵入してるかだろうな。どう思う? みーくん」
美紗が変なこと言い出した。
「はいはい」
僕はテキトーに流す。
だって、ねぇ?
異界ゲートは僕が封鎖してるし、ネイ達勇者も向こうで待機してるし、どうやって侵入してくるのさ?
……いや、手段があるのは知ってるよ?
だから、四天王、ノース・イート勇者を総動員して守りを固めているの。
そんな中、ギリが来た。
黙って僕を見ている。
僕も黙って頷いた。
スタージェイラーはオートでもイケるからね。
ギリは背中を見せて歩き始める。
でも、僕は声を掛けずにいられなかった。
「何かあっても、ちゃんと対応するように。万が一の時は、ちゃんと逃げてね。機材も資材も、また用意して作ってあげるから」
「心配されずとも、それくらいの判断は問題ありません。ジェイド様は完成した料理を楽しみに待っていれば良いのです」
一旦延期していたギリのお料理教室。
明日、改めて開催とのこと。
僕もシステムキッチンの製作に携わった。
なかなかに拘ったよ。
だからこそブチ切れた。
だってその日に、動き出すんだからね。
ーーーー Norinαらくがき ーーーー
ジェ:暇だなー(ポチポチポチ)
梟:ギャース
ジェ:暇だなー(ABBAAB→→<-)
梟:グギャース
ジェ:暇だなー(YY→BR)
梟:…………(滅亡)
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