27-1魔王のジョウジ

ーーーー アイ・スクリーム ーーーー


 ま、そうなるよなー。


 閣下やルナ、ウーサーも石像みたいに固まってっし。


 ってゆーかー。


「ショーコとフランはデキてねーの? まぁまぁジェイドの種、貰ってただろ?」

「私はついで。だからアイに譲ってあげたでしょう? 私はミーシャがメインだも……って何言わせるの恥ずかしぃ」


 ショーコは、光速化で消えた。

 顔真っ赤にして逃げやがった。


 成龍化したフランは、ニッコニコのドランとサランに挟まれて、鳴らない口笛吹いてら。


「フラン、みんなとの約束破って、抜け駆けなんてしてないもん。ちょっと成龍になれるようになったからって、オトナの魅力でジェイド様からの寵愛なんて貰ってないもん」


 あ? ヒミツだったのかよ?


 ドランとサランの笑顔を見る限り、あれ確信犯だぜ?


「ミサは、まだ、分かる。アイ? だれ? シェイド様と? フラン様も? 勇者ショーコも? 分からない。人の好意、測れる、サキュバスなのに、あれ? 私、本当に、サキュバス?」

「こども? タネ? まぁまぁ? 私、心が読めるはずなのに、何が書いてあるか分からないよ? アイ? 愛? 愛って、ナーニ? 私の愛? ジェイドのアイ? アイって目?」

「アイと、ジェイド様? デキル? タネ? もらう? こども、できる? あたしも、タネ、どうやったら、もらえる? あ、母ちゃん? ジェイド様と一緒に寝れば良いの? それだけ?」


 テンテン、フーリム、ノウンのプラトニックな女達は頭の上でハテナ踊らせながら頭突きし合って会議してら。

 現実逃避のつもりかアレ?

 ノウンなんか空見て話して……って光の最高位精霊!?

 おとぎ話でしか聞いたことないんだぜ!?


 え? 後でノウンにちゃんとレクチャーするように? それで手打ち?


 あ、はい。

 よく分かんないけど、それくらいお安い御用だぜ?

 

「待って、勇者アイ。お願い、ちょっと待って。頭の回転と鼻血が止まらないから、経緯を少し……すこーしだけで良いから、教えてくれないかしら?」


 空を仰ぎ、右手で鼻を押さえ付けながら左手で制止してくる四天王ミシェリーに、あたいは素直に答える。


「良いぜ。経緯っつっても……ミーシャに呼ばれたショーコの後を追い掛けてったら、あたいもついでってことでミーシャに呼ばれて、3人でジェイドやっつけようぜって襲いかかったのに、気が付いたら3人揃ってボロ負けってのが始まりだったな。って、だいじょうぶかー?」


 ミシェリーが噴水みたく鼻血出してるけど、そろそろ死ぬんじゃね?


「メイド部隊に告ぐわ。私の代わりに全てを聞き、後で私に報告しなさい。広めるのは、その後――ぶふっ」


 あ、倒れた。

 メイド達が介抱してるわ。


「ほーん、全ては美紗さんに始まってるんだね。ジェイドくん、言い訳、一応聞くけど?」


 ルナが石化から復活してら。ジェイドより怖ぇよ。


「事実だし、僕が全責任を取るのは前提として聞いてね。襲われて負けたら、僕は『ワンワン』と『クゥ〜ン』しか言えなくなってたの。だから、できるだけ優しく返り討ちにした。以上です」


「――だそうですが、ショーコさん。真偽は?」


「事実よ……少しフォローするなら、魔王ジェイド、見かけによらず結構なお手前。シュッ」


 ショーコは一瞬現れて、受け答えした後また消えた。

 ルナは目頭を抑えて上を向いてやがるが、鼻血が少し垂れてっぞ。


「っ……まだまだだよ! そもそも! アイちゃんは、ソレでオッケーだったのかな!? 無理矢理――では無さそうだけど、子供がデキちゃうのはオッケーだったのかな!?」


 目が血走ってっけど、ルナ大丈夫かー?

 必死そうだから答えてやるけどさ。


 いや、むしろ言ってやる。


「ふんっ、愚問だな! ロドラやポンにはぺたん娘だの何だのとガキ扱いされ、閣下からもお子様扱い。お偉い野郎共もおまえらもみーんなマスコットキャラ扱いしやがって! あたいはお人形か!? そんな中、ミーシャとジェイドだけは違ったかんな。ミーシャはほぼオモチャ扱いだったが、ちゃんと女として見てくれたし、ジェイドに至っては――初めて女としての悦びを教えてもらったぜ。まぁ結論、ジェイドとの子供? 喜んで産んでやるし!」


 むしろ、そのつもりでおねだりしたからな。


 そんなこと言うとルナが失血死しそうだから言わねぇけど。

 すでに鼻血ドクドクじゃねぇかよ。


「――分かったよ。アイちゃんはセーフ、ジェイドくんも……優しくしてあげたみたいだからセーフ。美紗さんだけは、ギルティだよぉおお!」

「なんで俺だけぇ!?」


 急に矛先向けられてビックリしてるミーシャだけど、当然の結果だよなぁ?


 ミーシャがジェイドの後ろに隠れて、ジェイドも庇う仕草。


「ジェイドくんどいて! 美紗ちん殺せない!」


 どっちが魔王だよ。

 ルナの魔力マジで半端ないって。


「ごめんね、ルナ。産まれてくる子供に罪は無いから。ね?」


「くっ! その通り……だよ……」


 ルナは振り上げた拳ならぬ魔力キャノンを納めた。


「みーくんモテモテだな。ルナも羨ましく思うくらいなら混ざりに来りゃ良いだろ」


 おいミーシャ、火に油を注ぐなってーの。


「だぁーれがぁ! そんなどピンクのチョメチョメ場所にぃ!?」

「俺もアイもしばらくデキねぇからな。代わりがフランちゃんだけだと……ほら、みーくんって見た目は可愛いけど脱いだら魔王だから。監督役だけでも……な?」


 ぶっ倒れてるミシェリーが手を挙げかけたが、ミーシャがハートのエースで叩き落した。

 位置的にあたいしか見えなかったかもな。


「……ちょっと会議! フーちゃん、テンちゃん、ノウンちゃん、集合だよ!」


 まるで親鳥の号令だな。ってか他の3人の動きがヒナだぜ。

 しばらくヒソヒソと会議が続きそうだな。


「女たちのフォローはこれで良い気はするが、野郎共には良いのかー?」


 あたいはジェイドに聞いてみる。


「向こうは勝手に解決してくれるよ。無理そうなら美紗に何とかさせるから」


 そう言って暖かい視線を男達に向けていた。


 いつの間にか男達は1箇所に固まっていた。


「やはり勇者と魔王の違いは……くっ、考えたく無かったがプレイボーイが必須条件なのであるか?」

「さすがジェイド様ですぜ。っておいら、こんなところにいていいんですかぃ?」

「アイが……そんな……ショーコまで……。女心とは、分からんものじゃのぅ……」

「やべぇっしょ。魔王ジェイド、マジ魔王っしょ」

「でゾ、ジャック。ジェイドのココロの声はどんなものゾ?」

「あーあー、聞こえねぇ。俺様はなーんにも聞こえねぇ」


 ウーサーと閣下はアレだが、ポンとロドラは鼻の下ノビノビじゃんか。

 ヒデオとか言うジェイドの親衛隊長も混ざってるし。


 ジャックは……耳が真っ赤と。


 ふーん。

 試してやろ。


 あたいとジェイドの初めての――。


「ボンッ!」


 あっはっはー!

 音立てて頭から湯気出しやがった!


 あたいのココロを聞いてたな?

 むっつりジャックめ。

 にひひ、後でからかってやろ。


 四天王ギリだけは龍種のところにいるなー。

 元勇者のラナってやつもそこにいるし。


「何かコソコソとしていると思えば娘をけしかけていたか、ドラン」

「ほっほっほ、何か問題でもございますかな?」


 不敵に笑うドランと、傍で微笑むサラン。

 龍が揃って笑ってるとか怖過ぎるって。


「問題大有りだろう。ジェイド様の子を孕んだらどうする? フランは曲がりなりにも四天王だぞ?」

「しばらくはその心配は無いでしょうが、仮にそうなった場合、もちろん私やサランが全力で補いましょう。今まで通りに」

「……ならば良い」


 そういやフランって四天王だったんだよな。

 でも、日中にも関わらず結構な頻度であたいらと一緒にヤッてたよな?

 つまり、そういうコトね。


「私、全然良くないの。このままだと、フーリムとられるの」


 ラナがメラメラと燃えてんな。

 でも、サランが耳打ちしてやがる。


「……なるほ……先に……ふんふん、予行演習……私が……知識? 大丈夫なの、経験、そこそこあるから心配無いの」


 ラナとサランはグータッチしていた。

 何か決まったみたいだな。


 ギリはやれやれって顔してんぞ。


 そういや、ノース・イートの各国代表もいるんだったな。


 宙に浮くモニターの前で、法皇さんと皇帝が膝抱えて座ってら。


「まぁ、魔王ですし。めかけの一人や二人いて当然……というか、妾の一人や二人が出来たからといってガールズトークが盛んになる魔王城の謁見の間って……ここはいったいどこなのでしょうね?」

「さぁな。どの道我がヤーバン帝国は魔王国の属国。反対しようにも反対する権利も無いわ」

『王国も法国も似たようなもんじゃがな。にしても――』


「「『わかいのぉ~』」」


 何か羨ましがられてんだけど、あたい900歳だぜ? 妖精期間含めて。

 ジェイドは確かに若いけどな。


 ん?


 ふと、どうでも良いことに気付いた。


「そういや、ジェイドって年齢的に1番下なんじゃね?」

「たーしかに! 俺も元々みーくんと同い年だったけど、3つも年食っちまったからな。おねショタ……捗る……いや、捗りたい……でも捗れない!? なんてこった!」


 なんてこったなのはミーシャの頭の中だってーの!


「え!? ちょーっと私も確認したいなー!? ジェイドくん今何歳なの!?」


 会議中のルナが飛びついてくる。

 変なレーダー立ってないかー?


「僕は17歳でこっちに来たけど、この前18歳になったよ?」


「私……この前19歳になった……っと、言うことは?」


 ルナは周囲を見渡す。

 誰もが首を横に振る。


「みんなから、歳下! 弟ポジしょたッ!? なんで!? なんでなのかな!? なんでジェイドくんは私好みのど真ん中ばっかり突いてくるのかな!? これじゃみんなの応援できないよぉ!? それでも応援するけどさぁ!」


 謁見の間の床にヒビ入るくらい拳を叩きつけるルナ。

 分かるー。

 その気持ち、今となってはすっげぇ分かるわー。


 なんかジェイド可愛いんだよな。

 だからついつい……なんつーの? 奉仕しちゃう的な? 精霊時代だったら怒られるくらい祝福をばらまいてただろうな。


「――ヨシッ! みんな、結論! もうみんなでジェイドくんとこ突撃しちゃおう! 大丈夫、私も付き添ってあげるから! あ、でも私は参加しないよ? 応援だけしてあげる! ね? ねっ? ねっ!?」


 テンテン、フーリム、ノウンは圧に押されてコクコクと頷くだけ。

 でも、あの様子じゃ何も分かってねーぞアレ。


「で、ジェイドの取り巻く女事情は分かったのであるが、程々にするのである。戦力の低下がとんでもないことになるのであるぞ?」


 デカいため息吐きながら、ウーサーは頭を掻いてんな。


「それは僕じゃなくて美紗に言ってほしいなー?」


「これでも俺は自重してるだが……。全力出してたら、ウーサーもコッチ側なんだけど」


「我の中身はオッサンだとゆーてるのであろうが!」

「カワイイ上にツイてないなら俺はイケる!」

「そーゆー問題ではないのであるぅ!」


 ウーサーの鳥肌やべぇな。

 ミーシャは相変わらずのドSスマイルだが、ルナも時間の問題だろうし、ミーシャのお眼鏡に叶う奴らはどうせ全員落ちんだろーぜ。

 

「さて、だいぶ話が脱線しちゃったね。話を戻そう。ともかく、これで美紗がしばらく大人しくなるから、その間にちゃんと戦線を構築しておきたい。だから、その戦略をみんなに伝えるよ」


 そうして、やっと本格的な会議がこの謁見の間で始まったぜ。


ーーーー Norinαらくがき ーーーー

ノース・イートの主要メンツに、もう18歳未満はおりません(ヌエ除く)

つまり?

じゅーはっきん! じゅーはっきん!ψ(`∇´)ψ


ルナ:(#^ω^)元凶オマエカ?

Norin:(゚д゚)!


(#゜Д゜)クタバレェ━━━……〓■●)゜д゚ )ゲハッ☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る