第四章 四世界統一へ
27-0魔王様、報告する
サウス・マータとの戦いに勝利し、3ヶ月が経った。
間もなくウェスト・ハーラとの開戦が予測されるけれど、イースト・キーンからも目が離せない。
2箇所から同時に侵攻されたら、まぁまぁな大戦争になっちゃうからね。
下手をすると負ける。
その原因は僕であり、僕が原因じゃないにしても、僕がやったことは間違いないので、僕が責任を取らなければならない。
今日はそのために、みんなに謁見の間に来てもらった。
僕はまだ謁見の間の裏で待機中。
みんな、というのは、ネンキーン王国の国王以外の各国代表者、及び勇者の全て。
ロゥガーイはギックリ腰で動けないみたい。だからドランのワイバーン・モバイルシステムでリモート参加だ。
人類軍、ノース・イート側。
・ブーラック法国より、法皇キレーヌ・タイムカードゥ24世。勇者ウーサー・ペンタゴン。
・ヤーバン帝国より、ヒャッハー・エンドセントリー7世、勇者ジャック・ザ・ニッパー。
・ネンキーン王国より、勇者ルナ・ティアドロップ。ロゥガーイ・ネンキーン65世はリモートで待機中。
人類軍、サウス・マータ側。
国としての参加者は無し。
・名代として勇者、ネイ・ムセル、ショーコ・ライトニング、ロドラ・コンクエスト、ポン・デ・ウィング、アイ・スクリームの5名。
魔王国側。
・四天王、ミシェリー・ヒート、ギリ・ウーラ、ノウン・マッソー、フラン・ハミンゴボッチ。
・魔王親衛隊改め、Anti Magic Armored Elite Unit 、対魔機甲化精鋭部隊、通称『アマエ隊』大将シッシ、元帥テンテン、隊長ヒデオ・ラッシュ。
・四天王補佐、ドラン・ハミンゴボッチ、サラン・ハミンゴボッチ。
・魔王代行、フーリム・D・カーマチオー。
・料理長ラナ・ウェイバー、他給仕係、執事、メイド若干名。
総勢何人だろ?
30人いないくらいかな?
みんなが集まったところで、僕は夕暮美紗を連れ、玉座に座る。
本当はこんな面倒なことはしたくないんだけど、形式としてやれって人類軍の王様達に言われちゃった。
例え相手が魔王でも、儀礼は軽んじるものではないと、人類軍側も考えを改めたらしいよ。
「よくぞ我が呼び掛けに応じてくれた。感謝する」
僕の言葉も儀礼の一つ。
王の立場の者は立ったまま軽く会釈するだけで、他の者は片膝をついて頭を垂らす。
「面を上げよ。じゃあ本題ね」
僕の魔王モード解除と同時に色んなところから深い溜息が漏れるのが聞こえる。
疲れるならやらなきゃ良いのにねぇ?
「今回、みんなを呼んだのは他でもなく、僕からの謝罪です。もうすぐ宣戦されるのに大幅な戦力低下を齎した僕からの謝罪。本当に、ごめんなさい」
僕は深々と頭を下げた。
「悪いな! みーくんの子がデキちまった!」
そして隣の美紗がぶっちゃける。
美紗が妊娠した。
今、3ヶ月だってさ。
サウス・マータの勇者をまとめてボコボコにできる美紗が戦線から完全に離脱することになった。
これは痛い戦力の低下。
だから、きちんと謝らなればならない。
しかし、みんなの反応は薄い。
それどころか、拍手の音さえ聞こえてくる。
よく見れば、叩く強さこそ違うけど、みんなが拍手してくれていた。
ノウンなんて泣きながら拍手してくれている。
拍手する1人のウーサーが前に出てきた。
「つまらん茶番はよすのである、ジェイド。どうせソレが本来の目的なのであろう?」
「ジャックから聞いた?」
ジャックは心の声が聞こえるからね。
でも、ジャックもウーサーも首を横に振った。
「お前達のイッチャイチャっぷりはルナからいつも聞いておったわ! 最近ミサが
ルナの笑顔が近所の世話焼きおば……ゲフンゲフン……世話焼きお姉さんそのものだね。
一瞬
ネイも拍手しながら、呆れ顔で祝福してくれたよ。
「吾輩もショーコより聞いておる。魔王が子を成すというのは初耳じゃが、魔王が人間であるなら当然であろう。魔王ジェイドに対して言う事はできぬ……が、ミーシャよ、おめでとう。人の子であり、勇者の子は、まさに希望の光。まずは子とその身を第一にせよ。ジェイド……ミーシャや子を泣かせようものなら、何としても一矢報いるぞ?」
おじいちゃんだよ。
その反応、初孫のおじいちゃんの態度だよ。
子供が生まれたらおねだり大作戦だね。
最後にミシェリー。
「バレてないと思っているのはジェイド様だけです。こちらにはフーリムもいますし。もうメイド達のせいで魔王領内全域に噂が広まっております。ということで、今をもちまして情報解禁ということで良いですね?」
あれ、そうだったの?
じゃあ、と僕は頷く。
「っしゃぁ! 情報解禁や! メイド部隊! 執事もきょーりょくして魔王様の子の全力サポートや!」
ミシェリーが急に元気になった。
メイドや執事に色んな指示を出している。
……そっか。
そうだよね。
フーリムもいるんだから、黙ってたってバレるよね? ジャックもいるし。
じゃあ、いっか。
「おいで」
僕は、1人を玉座に呼んだ。
美紗は彼女の手を取る。ゆっくりと階段を上がるように。
僕の左には美紗。
そして彼女は右に立つ。
「わりぃな! あたいも、ジェイドとの子供、デキちまったぜ!」
勇者アイの告白に、僕ら3人以外の時は見事に止まっちゃった。
ーーーー Norinαらくがき ーーーー
次回、修羅場。
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