23-4アイシテルミッツ三帝会戦④
ーーーー ポン・デ・ウィング ーーーー
嫌な予感と気配はあったけども……。
音もなく静かぁに空の色を一変させるのはやり過ぎだろー!?
「空の赤は血の色ってか!? あーやだやだ! これだから蛮族魔族は嫌いなんだって。なぁ皇帝、もうさっさとコッチについた方がイイっしょ?」
目の前にいる訳じゃないが、俺っちの声はちゃんと聞こえてるよな。
先陣切って突撃してきて、鼻水やら汗やらで汚ぇ顔してっけど、この状況で真っ直ぐコッチ見てられるヤツはトップしかいねぇもんなぁ。
ーー ヒャッハー・エンドセントリー7世 ーー
勇者の問いに、我が胸の鼓動は早くなる。
これからの未来にあるのは、希望か絶望。
その選択が今、目の前に、答えの見えぬ形で掲示されている。
我は、選択せねばならない。
このような時に、駆けつけてくれる仲間など、いない。
勇者ともあれば、いつでも、どこにいようとも、カッコよく、それこそ血色の空からでも助けに来てくれるのだろう。
もちろん、そのようなことはないと知っている。
我は皇帝、ゆえに、選択せねばならない。
「ヒャッハー・エンドセントリーが告ぐ! 帝国軍! 傾聴せよ! 我が
我の号令に、声で応える者はいない。
我が選択したのは、結局、どちらも選ばず……いや、どちらも選んだのであるからな。
だが、地響きを感じるぞ。
帝国の臣民、家族、子供ら、その未来を掴むために動く帝国軍の勇ましい足音がなぁ!
「帝国軍……ココに来て、ヤりやがったなァ?」
「ふんっ! 好きに申せ。これが帝国のやり方よぉ! 我らは、帝国の存続、繁栄のためになるようにしか動かぬわぁ! ハーッハッハ!」
そして我は逃げた。
高笑いしながら。
我の勝利条件は、戦場に残ったまま、勇者と焔帝に捕まらぬこと。
戦が終われば、勇者は我を殺せぬし、焔帝も殺すまではしてこない。個別で何らかの罰はあるだろうが、それまでよ。
どちらが勝利しても、どちらに対しても、功績が残る。
賞罰の差し引きで、賞は間違いなく上回る。
ならば、我の勝ち。
そして帝国軍の勝利である。
逃げるが勝ち、とはよく言ったものであるな。
ーーーー ミシェリー・ヒート ーーーー
ウチは何とか平静を保っとる。
そら帝国軍と勇者軍が急に揉め始めたからやな。
揉めとるゆーか、お互い掴み合うて放さんだけにも見えるけど。
あら?
「帝国軍がコッチにも来ているわ。100人程度の部隊で対応を。他の者達は迂回して、挟撃体制を。まとまっていれば勇者の魔法の餌食よ。各自散開、後に集合して当たりなさい」
「100? だったら、ちょうどおいらの部隊がそれくらいなんで当たらせるぜぇ……聞いたか野郎どもォ!! かかれぇぇえ!」
「「「ぬおおおおおおぉぉおおぉぉお!」」」
おぅふ。
野太い声がお腹に響くわぁ。
確かアマエ隊やったか?
元鉱夫の集まり……なら押し負けはせんな。
屈強な男達が、敵味方問わずくんずほぐれつ……。
でへへ。おっとヨダレが。今は真面目にやらんとな!
「ヒデオはこっちや」
一緒になって突撃しようとすな。
ウチはヒデオの首根っこを押さえる。
「いや、ついでにあのハゲ勇者に一発お見舞いしてやろうかと思いやして……」
良い心意気や。
でも下策やな。
見てみぃ。
ウチは少し後ろに倒すようヒデオを引っ張り、空を見上げさせる。
「はんっ! ノコノコと大将が出てくるたぁ気合が入るぜぃ!」
勇者は、ギリより悪い笑顔作りながら飛んできて、巨大な爆撃魔法を無言で投げつけてきよった。
ウチもイチイチ命令なんか出さん。
ヒデオは無言で一発、爆撃魔法にお見舞いする。
それで魔法は消えた。
ウチもヒデオもニンマリや。
勇者もニンマリ。
でもな、こめかみがビキビキしとんの丸見えやで?
かっこわるー。ぷー、くすくす。
あ、勇者怒ったやん。
爆撃魔法、大量展開。
ふっ、ヒデオ、やったり。
ん? どしたんヒデオ?
ちょっと冷や汗出とるやん。
「すんやせん、手持ちの予備弾倉の中身、さっきのアレで消えちまったみたいでして……」
つ、つまりどーゆーことや?
「このアサルトライフルに入ってる29発が全弾でさぁ」
空に浮かぶ爆撃魔法、最低でも30はあるな。
うん、あかん。
おわた!
『Phase B:Red's halation...standby...』
もうどーにでもなれやぁ!
ーーーー Norinαらくがき ーーーー
A→C#m→D→E→……
前奏が、聴こえるッ!
尚、NorinはSeaちゃん推しです。
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