23-2アイシテルミッツ三帝会戦②

ーー ヒャッハー・エンドセントリー7世 ーー


 睨み合って動きがない。


 これは良くない展開だな。


 時間は確実に魔王軍に味方するだろう。


 かと言っていきなり魔王軍に攻撃しては『焔帝』ミシェリーに返り討ちにされる。


 我らの戦いは、いかに偶然を装って魔王軍の被害を増やすかにある。


 そのためには混戦が必至。


 混戦とするには、まず魔王軍の中に入り込む必要があるな。


 地形は我ら帝国軍が丘の上で最も有利。

 勇者軍は丘の下で最も不利。

 魔王軍は丘の中腹ではあるが、勇者軍と挟撃できる位置に無い。ちょうど逆三角形の配置だな。


 であれば、少数を勇者軍に当て、残りを魔王軍に合流させるとしよう。


 そして突撃の後、魔王軍に牙を剥くのだ。


ーーーー ポン・デ・ウィング ーーーー


 丘の上の帝国軍がやっと動いた。

 おっせー動きだが、この場合はしゃーねェか。


 少数がコッチに来てるが、フリっしょ。


 殺さないよーにテキトーに相手するよう指示しとく。


 魔王軍に合流して押し出すのは見え見え。


 分かりやすくて助かるネェ。


 そう来るなら、重装歩兵で壁を作って、止めて、その後ろに『天覧爆』でドーン。


 それでオシマイっしょ。


 帝国軍もろとも?


 そっちの方が、都合良いっしょ。


ーーーー ミシェリー・ヒート ーーーー


 うーん、迷うなぁ。


 一旦保留にしてえぇ?


 ちゅー訳で、ジェイド様のお助けスキル『【焔雪煌都】ユキノハレーション』は保留……。


 いや、発動はしとんやけどな。


 だいぶ時間掛かるんやもん。


 なんか、天気も悪うなってきたし。


 ステータス見ても『曇天化70%』とか意味不明やん。

 71%、72%……ちょいちょい増えてっとんやけどな。


 そうこう思うとる内に帝国軍が動き出しよった。


 気持ちだけ勇者軍に向かわせて、残りはコッチかーい。


 近寄らせる訳ないやん。


「ヒデオ、あ~るぴぃじーセブンとかゆーやつ帝国軍にかましたり。射角はできるだけ高ぁくな。ちょいあけて2発目も撃ったり」


「イエス、ユア、ハイネス!」


 それ、なんなん?


 まぁ、即実行してくれるんならええんやけどな。


「ウチも動くでぇ。ヒデオ、ついてきぃや!」


 久し振りに、楽しい軍師の時間や。


ーー ヒャッハー・エンドセントリー7世 ーー


 早足で魔王軍に合流しようとしたのだが、突如前方の土が爆発した。


 空からの砲撃魔法である。


 どこから?


 爆発した直前上には勇者軍。


 いやまさか我々を狙った訳ではあるまい?


 ……あえて狙ったか?


 勇者軍に我らも突撃しておるのだ。


 これくらいの反撃はパフォーマンスに過ぎぬだろう。


 攻撃を受けたとあれば魔王軍にも合流しやすい。


 ただ、帝国軍に動揺が走っておる。


「静まれぇい! これしきの事で狼狽えるな! 我等こそ、至高にして最高の軍……」


 その時、想定外の横槍が入った。


「そう! 我ら魔王軍である! よくぞ参った。ヒャッハー・エンドセントリー7世。貴殿の援軍、感謝する」


 なぜ、ミシェリー・ヒートがここいる!?

 本陣を抜けてきたというのか!?

 単独……ではないようだが、護衛が1人というのは単独にも等しい。


「勇者軍は接敵することなく我らを葬ろうとする卑怯者のようだ」


 その時、かなり至近距離で大地が爆ぜた。


 先程より近い……だと?


「この場にいては全滅しかねない! さぁ、勇者軍にお礼参りと行こうではないか! 魔王軍もこちらの軍に合わせて突撃するとしよう! 死にたくなければ、走れぇ! 突撃ぃ!」


 いや待て! 至近距離の爆発のクセになぜ焔帝の眉がピクリとも動かない!?


「待てぃ! これは罠……グオォォオ!」


 我が声を上げるも、もはや誰も耳にも届かぬ。


 押し出され、前を向く以外無い。


「ふふ、では一番槍、任せるわ」


 焔帝めぇ! 完全に利用された!


 これはもう、突撃するつもりで勇者軍合流し、反転して魔王軍を仕留めるしかあるまい!


ーーーー ポン・デ・ウィング ーーーー


 二度の爆発、そして帝国軍の突撃。


 シクッたっしょ?


 あんの勢いで突っ込まれたら、コッチもただじゃ済まねぇんだけどよ?


 天覧爆で仕留めるか……。

 いや、まだ早ぇな。


 魔王軍の四天王が何もしてねぇのに、俺っちだけが派手に魔法を使うつもりはネェ。


 何か隠してやがるっしょ。


 それが分かるまで、俺っちも温存する。


「槍衾よーい!」


 重装歩兵達に長槍を構えさせる。


 突撃の速度を落とさねぇと、全員串刺しになる。


 さぁ、帝国軍には反転して魔王軍に向かってもらわないと、なぁ?


 …………。


 おいおい。


 帝国軍を追い立てるように、帝国軍の後ろて爆発が3連続。


 突撃の速度が上がった。


 魔王軍、やってくれるなぁ!?


ーーーー ミシェリー・ヒート ーーーー


 これで帝国軍と勇者軍はまるっと激突やな。


 ちょっとはお互いに削れるやろ。


 ジェイド様やったら、どっちも無傷で全員捕虜にしそうやけどな。


 あら?


 なんか雪降り始めたけど?


 ここって雪降るような土地やったっけ?


 ってか、全然寒ぅないけど?


 何が起きとん?


ーーーー Norinαらくがき ーーーー

Norin:ゆーきーやこーんこ、あーられーやこーんこ

ミシェ:ウチはネコ派やで

Norin:ではこのネコミミを……

ミシェ:ニャーン(ฅ`ω´ฅ)なんてやるかアホーッ!



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