23-0魔王様、戦況を報せる

 ジャックとネイが不自然な形で睨み合っている。


 ジャックは結構なダメージを受けたはずなのに、それで立てるのはすごいよね。


 今はもうルナが回復してるから大丈夫だけど。


「ネイ爺さんめ。俺にボケっとすんなとか言いつつ今自分がそうしてんだろーがっ!」


 美紗は僕の横にピッタリとくっついてブーブー言っている。


 美紗は本陣戦に夢中だね。


 じゃあコッソリと……。


「ナーニ見てんのかなー? みーぃーくーぅん? んぁ? 別部隊? あれ? もう星ノ眼って無いはずだよなぁ!?」


 うーわ、ソッコーでバレた。


「星ノ眼をコッチの技術で再現しただけだよ。試作品だからこれ1個しか無いけど」


 美紗の目が冷たい。

 疑われている。

 そりゃそうだよね。普通に複数あるって考えるよね。


「宣戦布告を即座にされなかったら量産するつもりだったの」


 だから僕は両手を挙げて降参のポーズ。


 美紗は僕の目をジーッと見てくる。

 そして溜め息1つ。


「どーやらこの件については本当みたいだな。じゃあ勝手にリンクさせてもらうということで許してやろう」


 うーわ、ハッキングされた。

 同じシステムで連携してたとは言え早過ぎる。


 美紗め、準備してたな?

 

 美紗相手にプログラム系兵器は使用不可能か。


 僕の勝ち目がどんどん薄くなるなぁ。


「あっれぇ? 結構なガチ編成じゃーん。これなら、ウチの方ともそれなりにカチ合えるんじゃね?」


 薄い目で美紗を見る。

 そして、美紗に合わせて言った。


「そうだね。ミシェリーが再編している魔族部隊が3千。そっちが、1万くらい?」


「御明察」


「それで、僕が指示していないのに、勝手に出陣しちゃった帝国の部隊が5千っと。しかも『皇帝』ヒャッハー・エンドセントリー7世が先頭でわざわざ、ねぇ」


 僕は、微塵も焦らず、ただ声を冷たくし、美紗に当たる。


「こっちも『天帝』ポン君が準備できた頃だろぉよ、ぐっ……ぐふふっ」


 美紗は必死に笑いを堪えていた。


 誰もが認める汚い笑みを浮かべて。


 でも、そんな美紗が愛おしい。


 だから、僕は受け止めてあげる。


 その上でーー。


「ちゃーんと、綺麗に叩き潰してあげる。我が誇る四天王にして総司令、『焔帝』ミシェリー・ヒートとその仲間達によってな」


「第2ラウンドは勇者のターンだ。成す術もなく塵芥になりな。ちゃんと断末魔だけは聞かせろよ?」


 僕はニッコリと笑顔で応える。


 そして、音の暗号を打ち込んで、ノース・イートの全てに報せた。


・-・-- ・- ---- ・・・- 


・・- ・・・ -・-・・ ・・ --・


ーーーー Norinαらくがき ーーーー

あ、モールス信号です、ハイ。

顔文字にしか見えないのは病気の始まり。

(・-・)(-- )(・-) (--)(--) (・・)(・-) 

(・・)(- ・)(・・) (-・)(-・)(・ ・)   (・ --・)

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