22-1魔王城で超覚醒

ーーーー ロドラ・コンクエスト ーーーー


 ワレ、独りだけ飛ばされたようだゾ。


 魔王城にナ!


 目の前には立派な城が聳え立ち、庭園にはワレと女が2人。


 それも、ノース・イートに来た時に、攫い損ねた女と逃げ回っていた勇者だゾ。


 視線が痛い。


 こちらのステータスは丸裸にされたが、この2人のステータスは分からんゾ……。


 この前は完全なる不意打ちだったから、こちらが有利に動いていた。

 だが、逃げないところを見ると完全に対策を取られているゾ……。


 コヤツラにしてみれば、完全なるホームゲーム。


 ワレなど、恐れるまでも無いということか。


 ふっ。


 ならば、やるしかあるまい!


「こうなったら、賭けであるゾ! 1日1回の『ダイスロール』起動! デーロデーロ、デロデロ……」


 運師の実力、見せてくれようゾ!


ーーーー フーリム・D・カーマチオー ーーーー


「なんか、前にも聞いたことあるセリフね」


「ん。フーリム、どうする?」


 私は腕を組んで溜息を一つ。


 幸いにも、ラナと一緒に魔王城に飛ばされた。


 魔王城が戦場になることを想定していたらしいジェイドの手により、魔王城のてっぺんから、勇者撃退ビームの発射装置が、すでにロドラに向けてスタンバイされている。


「発射コードはジェイドから聞いているから大丈夫。それにコイツなら、対策通りやれば私達でも勝てるし、サイコロの結果待ちね」


「ん。了解なの」


 だから待つだけ。


 振られたのは100面ダイス。


 どんな値が出ても、勇者ロドラ、勇者アイには絶対負けない。


 私達を前にしたこと、絶対後悔させてやるんだから。


「デロデロデロー……デン! 100! 100!?」


 100が出た。自分で言って驚いてる。

 しかも顔真っ青なんだけど。


「ファンブル来たゾ! 『ファンブル時超覚醒』起動!」


 ん? 待って、超覚醒ってナニ!?


「ふはははは! 超覚醒とは文字通りゾ! 力、魔力共に10万! からのぉ! 10倍! それが! 超覚醒ゾ!」


「マズイの、フーリム、一旦逃げるの!」

「ぬぇ!? ちょ、マーッ!」


 私はラナに抱えられたと思ったら、瞬時に魔王城のてっぺんに移動していた。


「100万は無理なの。でも、フーリム、ナニかあるの?」


 ラナはここで止まってくれた。


「えっとね、アイツのオーラが『青』なの。敵は赤って、前に話したよね?」

「うん。本当に、青いの?」


 ラナには、ちゃんと『真詠』のこと、全部話したの。

 それから、料理長じゃなくて、ラナって呼ぶようになった。

 

 そんなラナは、今、私のことをすごく心配してくれている。


 でも、大丈夫。


 私は今、押し付けられたとは言え魔王代行。


 早く本陣に戻ってちゃんと指揮しなきゃ。


 きっとみんな、私の帰りを待ってるはずだもんね。


「ここなら、ギリギリだけど『真詠』使えるから、とょっと待ってね、ラナ」

「ん、分かったの」


 そして、私はロドラを詠む。


『ファンブル超覚醒したは良いが、副反応の1日麻痺が大当たり。動けんゾ……。しかーし、こうして睨みを利かせていれば……ん? なぜ目の前にニッコリ笑顔で戻ってきたゾ!? あ、足を触るナぁあああ!』

「アヒイイイイィィィイイア!」


 きったない叫び声だわ。


 私とラナはこのポンコツ勇者を丁寧に縛り上げた。

 

「くっ、戦わずして捕縛されるとはワレながら情けないゾ。だが、丁重に扱うがヨイゾ。そうでなければ……」


 縛られてる癖に図々しいわね。


「なければ?」


 いったいどうするつもりなのかな?

 一応『真詠』も準備して――。


「漏らすゾ?」


 …………。


 うーわ最悪。

 ラナなんかドン引きし過ぎてまた魔王城のてっぺんに行っちゃったじゃない。

 私も連れてって欲しかったなー。 


「いや冗談ではないゾ! そもそもこれから休憩しようかという時に魔王がやってきたのだゾ! そんな暇ナカッタんだぞ!」


 あーうん、まぁそれは一理あるわね。


 私もだし、ラナもうんうんって頷いてるし。


「それに、勇者が漏らすなど、人類側にとって、屈辱も侮辱ゾ! 頼むから、なるだけ……はやくゾ!」


 演技じゃなさそうね。

 オーラが真っ青というか、蒼白というか、多分、ヤバいやつ。


「んー、どうしよ、ラナ? 執事先輩に相談したら聞いてくれるかなぁ? 後輩が生意気言ってるって思われないかなぁ?」


「そのへん、大丈夫なの。今、フーリムは魔王代行なの」


 そう言えばそうだった!


 私はニンマリして、そういうことが大好きなインキュバス先輩をソッコーで連れてきた。


 勇者ロドラは、連行されたけれど、意地で耐えたみたい。


 ナニをとは言わないわ。

 名誉のためにね。


 私は調子に乗って、なぜか発動条件を満たしていたらしい『【宇宙要塞】ダイワクロス』を起動し、本陣へ向けて移動開始した。


 痺れて動けない捕虜の勇者ロドラ、そしてラナと共に。


 本陣まで残り3分の2のところで、ジェイドの報告が聞こえたわ。


 フランが無事で良かったー。


ーーーー Norinαらくがき ーーーー

フーリムの称号スキルのイメージ。

バト○・フ○ンテ○アの1/20サイズをイメージしていただければと思います。


フーリム:オネシャス!

インキュバス先輩:しょうがないね。ここに入って、どうぞ(๑´ڡ`๑)

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